Amazon Web Services(以下、AWS)とSAPは、戦略的協業の拡大を発表した。
これにより、現代のクラウドERP体験を変革し、顧客による生成AIを活用した機能の開発と効率の向上を支援するという。具体的には、AWS上でのRISE with SAPソリューションの導入を支援し、クラウドで実行されるSAPワークロードのパフォーマンスと効率を向上させるとしている。また、生成AIを企業のビジネスクリティカルなアプリケーションポートフォリオ全体に組み込むことを目指していくとのことだ。協業の具体的な内容は以下のとおり。
Amazon Bedrockの生成AIモデルをSAP AI Coreの生成AIハブで利用可能
AnthropicのClaude 3モデルファミリーやAmazon TitanなどのAmazon Bedrockから利用可能な生成AIモデルにより、SAPの顧客はLLMやその他の基盤モデルにアクセスして、独自のデータでカスタマイズされたアプリケーションを構築できるようになるとしている。
この統合により、SAPの顧客はSAPソリューションを活用して主要なビジネスプロセスを近代化できるという。これらのイノベーションは、RISE with SAPやインテリジェント・シナリオ・ライフサイクル管理機能に組み込んで利用可能だとしている。
また、両社はAmazon Bedrockが生成AIハブで提供する機能を拡大し、クラウドソリューションとアプリケーションのSAPポートフォリオ内に組み込みAI機能を実現していく予定。これには、財務および製品ライフサイクル管理全体にわたる追加のユースケースが含まれるとのことだ。
SAPがAWSのチップを使用して将来のAIサービスを強化
SAPは、Graviton3ベースのAmazon Elastic Compute Cloud(EC2)インスタンスを使用することで、分析ワークロードの計算能力を最大30%向上させるという。これによってSAP HANA Cloudの二酸化炭素排出量の45%削減を見込んでいるとのことだ。
現在両社は、次世代のGraviton4についても協力しており、SAP HANA Cloudおよびその他のSAPアプリケーションのパフォーマンスと効率をさらに向上させる計画だという。SAPは、AWS GravitonでのSAP HANA Cloudの成功をもとに、SAP BTP、SAP Datasphere、SAP Analytics Cloud、SAP Cloud ALMソリューションなどにもAWS Gravitonを使用する予定。
さらに、SAPはAWS TrainiumおよびAWS Inferentiaを、将来のSAP Business AI製品のトレーニングおよびデプロイに活用する計画だとしている。
AWS上のRISE with SAPのパフォーマンスの向上
今回一般提供を開始した次世代のAmazon EC2 High Memory U7iインスタンスは、単一インスタンスで最大32TBのメモリーを提供。SAP HANAデータベースの拡張ニーズをサポートするために必要なメモリーと柔軟性を提供するという。
【関連記事】
・IBMがスカイアーチネットワークスを買収 日本市場でのAWS事業拡大へ注力
・AWS、Amazon Qなど生成AIサービスの最新アップデートを紹介 “3層構造”サービス群で支援
・AWS資格取得済みのエンジニアの9割以上が「取得してよかった」と回答──サーバーワークス調査