[比較8]:仮想マシンのホスト間移行機能
Hyper-V 1.0では、Quick Migrationと呼ばれる仮想マシンのホスト間移行機能を提供していました。
Quick Migrationは仮想マシンの可用性を高める手段として有効ではあったものの、二つの課題がありました。一つは仮想マシンの移行時に停止時間が発生してしまうこと。もう一つは、原則として仮想マシンごとに専用のLUNを設ける必要があることです。
Hyper-V 2.0では待望のLive Migration機能、そして新しいファイルアクセス方式であるCluster Shared Volumes (CSV)の実装により、Quick Migrationの二つの課題を解消します。
仮想マシンの無停止移行を実現するLive Migration
Quick Migrationによる仮想マシンの動的移行では、仮想マシンの状態を一度ディスクに保存してから移行先のホストで立ち上げる仕組みになっていたため、移行時に仮想マシンの停止時間を必要としていました。
これは、ノートPCの休止状態を想像していただくと良いかもしれません。ディスク上にメモリの状態などを書き込んでおくことで、後から同一の状態を再現します。ただし、休止モードではメモリデータを同一のマシンで読み込むのに対し、Quick Migrationの場合は移行先マシンでそれを読み込むことによって、仮想マシンの移行を実現します。
そのため、仮想化の最大の特徴の一つであるハードウェアとOSの分離は完全なものではなく、たとえばハードウェア保守によるサーバー再起動や、ハードウェアリプレイスなどによる影響は少なからず残ったままでした。Hyper-V 2.0で新しく提供されたLive Migrationは、VMwareにおけるVMotion相当の機能であり、仮想マシンを停止させることなく異なるホストに移動させることができます。