IFSジャパンは7月10日、年次カンファレンス「IFS Connect Japan 2024」を開催。同日行われたメディア向け事業戦略説明会にて、日本市場への投資計画やワークスアプリケーションズとの戦略的業務提携を発表した。
スウェーデン発のIFSは、80ヵ国に事業展開するグローバル企業として、フィールドサービス管理、設備資産管理、ERP、サービスライフサイクル管理を1つのプラットフォームで提供している。特に、航空宇宙・防衛、サービス産業、テレコム通信、建設エンジニアリング、エネルギー、製造の6業界に強みを持つ。最高製品責任者(CPO)のクリスチャン・ペダーセン氏は、同社の強みの一つとして「業界知識の深さ」を挙げる。「お客様に信頼されるパートナーであるからこそ、お客様が新しいテクノロジーを導入することを意欲的に受け入れている。たとえばデジタルツインやIoTなどを取り入れることによって、インダストリーのソリューション基盤がさらに強くなる」と話す。
次に、同社アジア・中東地域担当 プレジデントのヴィンセント・カルバーリョ氏が、日本市場への投資計画を発表。カルバーリョ氏は、「戦略的投資プランを日本で実施していくのは、指数関数的な成長を目指したいという意図がある。日本を次なる超成長市場にしていきたい」と話した。その理由に同氏は、世界第4位の経済規模をもち、日本のGDPの約10%を製造業が占める“モノづくりの国”であることを挙げる。カルバーリョ氏は、日本企業のエグゼクティブと会話する中で、労働力不足に起因する生産性向上のニーズを感じ「日本が大きな変化を迎えていることを実感した」という。その上で、企業同士の連携の重要性が高まると強調した。具体的に、カルバーリョ氏は「IFSのテクノロジーと、日本ならではのニーズに対応できるように“コラボレーション”していくことだ。その一例として、ワークスアプリケーションズ(以下、WAP)と戦略的業務提携をする」と発表した。
IFSとWAPは、日本の大手企業向け市場における、基幹システム周辺の投資および業務効率を改善することを目指し、戦略的業務提携契約を締結したという。特に、「2層ERP」と「コンポーザブルERP」に焦点を当て、異なる国や地域の業務ニーズに対して、標準機能でシステムを構成し、「完全標準化」と「脱アドオン」の実現を目指す。IFSジャパン 代表取締役の大熊裕幸氏は「基幹システムに関する、これまでの課題を解決する選択肢を提供できるようになる」と話す。
WAP 代表取締役最高経営責任者の秦修氏は、大手企業から「老朽化し、複雑化、肥大化した基幹システムをこれからどうすればいいのか」という相談を受けるという。「国産のERPベンダーとして誇りをもっているが、どうしてもリーチしきれない部分がある。そこで、IFS様と手を結ぶことでより広いサポートを提案できる」と提携の背景を説明した。
ただ、両者はERP領域ではライバル関係にもなり得る。それについて、秦氏は2つの「きょうそう」を挙げた。切磋琢磨できる存在として、成長させるエネルギーに変える「競創」を通して、両者の製品をコラボレーションする「共創」につなげていく考えだ。「カスタマイズに莫大な労力やコストをかけることなく、よりシンプルなシステム構築を提案できることを目指していきたい」と意気込みを語った。
【関連記事】
・日本マイクロソフトとワークスアプリケーションズ、次世代型ERP開発に向けて連携を促進
・日立建機、約500のアプリサーバーなどをOCI移行 大規模基幹システムのクラウド化進める
・アルプスアルパイン、国内外81拠点の基幹システムをグローバル統合 アビームコンサルティングが支援