野村総合研究所(以下、NRI)は、データ主権を確保しながら金融機関の求めるセキュリティ水準を満たす「NRI 金融AIプラットフォーム(仮称)」を、2025年度上期中に提供開始すると発表した。
同プラットフォームは、各社専用の環境をNRIのデータセンター内に構築し、安全かつ柔軟にAIを活用でき、金融ビジネスに貢献するという。主な特徴は次のとおり。
①金融ビジネスに最適化されたLLM
金融ビジネスにおけるLLMの導入に関しては、回答の信頼性と正確性が重要となる。それに対応するため、Cohere(コーヒア)のLLMを採用し、NRIがもつ金融ビジネスへの知見と、金融機関向けに提供しているITソリューション内のデータなどを取り込むという。また、最新のGPU4を導入し、金融ビジネスが求める性能要件に準拠した上で、膨大なデータ処理を実現するとのことだ。なお、採用するLLMについては、Cohere以外のモデルも検討しているという。
②データ主権を確保したAI環境の提供
同プラットフォームでは、金融機関が求めるセキュリティ水準に対応するため、NRIのデータセンターに導入したOracle Alloy5を活用して各社専用環境を構築し、LLMなどのAIによるデータ処理をデータセンター内で完結させる。これにより、データ主権を確保しながら、堅牢かつ柔軟に活用できるAI環境の提供が可能となり、金融ビジネスや金融サービスへのAI活用が期待できるという。
③AI活用を支援する新たなプラットフォーム
同プラットフォームを利用することで、NRIのデータセンター上で稼働するITソリューションにおいてもシームレスかつセキュアにAIを導入することが可能。NRIは、これまでに培った金融ビジネス支援のノウハウを活かし、特にAIの適用効果が高いと考えられる、「①営業業務支援」「②コンプライアンス業務支援」「③事務の高度化・自律化」の3つの戦略分野について、同プラットフォームを活用した新しい金融ソリューションの提供を予定しているという。
また、金融ビジネスにおける同プラットフォームの活用方法については、NRIのデータサイエンティストやAIエキスパートがサポートを行うとしている。
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