Snowflakeが“Icebergシフト”を強化/Salesforce本社の「オハナフロア」訪問
NTTドコモは「Data ROI」を重視視 ペタバイト級の巨大データ分析基盤を一本化

本コーナーではエンタープライズITを中心に取材を続けてきた筆者が、話題となっているトピックから毎月いくつかのテーマを選び、「注目トピック」「サブストーリー」「ニュースピックアップ」として紹介する。第1回目となる今回は、国内でも急速に導入企業を増やしつつあるデータプラットフォーマー Snowflakeの動向と国内事例、Salesforceの本社ビル最上階に設置されている“オハナフロア”、ニュースピックアップとしてインテルのエンタープライズAI製品およびNTTデータの防災DXソリューションの海外展開についてお届けする。
オープンテーブルフォーマット「Iceberg」へのシフトを鮮明に
10月18日(米国時間)、Snowflakeはカタログサービス「Snowflake Open Catalog」の一般提供開始(GA)を発表した。これはThe Apache Foundationのインキュベーションプロジェクトである「Apache Polaris」のマネージドサービスで、以前は「Polaris Catalog」としてプレビュー提供されていたものである。なお、GAから半年間(2025年4月30日まで)は無料で利用可能だ。
Open Catalogのリリースは、Snowflakeの“Icebergシフト”をさらに強化する方針を示した発表として注目される。Snowflakeは2022年からオープンソースのテーブルフォーマットである「Apache Iceberg」を全面的にサポートしているが、Polaris CatalogはこのIcebergとの相互運用性に特化したカタログ実装としてSnowflakeが2024年6月にリリースしたものだ。その後、オープンソースプロジェクトとして公開し[1]、外部からのフィードバックを反映しながら今回のOpen CatalogのGAに至っている。

Snowflake Open CatalogのベースとなっているのはSnowflakeが開発し、その後、Apache Software Foundationのもとでオープンソースプロダクトとして公開されたApache Polaris。Icebergに特化したデータカタログとして複数のコンピュートエンジンをカバーし、Snowflakeの相互運用性を高める
(「Snowflake World Tour Tokyo」にてSnowflake 製品担当EVP クリスチャン・クライナーマン氏が説明)
Snowflakeには既に「Snowflake Horizon Catalog」という同社ネイティブなデータカタログを提供しているが、その一方で多くのコンピュートエンジンをサポートし、コミュニティ活動も活発なIcebergをコアにしたエコシステムの拡大を図ることで、ベンダーロックインを嫌うユーザーからも支持を得やすくなる可能性は高くなるだろう。特に単独のパブリッククラウドに依存したくない企業にとって、メタデータを高い透明性で扱えるメリットは非常に大きい。
9月に都内で開催された「Snowflake World Tour Tokyo」のために来日したSnowflake CEOのスリダール・ラマスワミ(Sridhar Ramaswamy)氏は、報道関係者向けのラウンドテーブルで「Icebergを一気通貫でサポートすることにより、より多くの顧客がSnowflakeのシステムに接する機会が増えると思っている。データプラットフォームとしてSnowflakeほど多様なアーキテクチャをサポートできるところは他にない」と語っていた。
Google出身のラマスワミ氏は2月に同社CEOに就任したが、CEOとしてのゴールを問われた際に「GoogleやMeta(旧Facebook)、テスラ、シーメンスのように、プロダクトストラテジーだけでなくデータストラテジーを実践し、データのフィードバックループを構築して成功を収める企業を数多く支援していく。データはコスト削減のためだけではなく、リアルバリューを提供するためにあることを顧客に伝えていきたい」と回答している。そしてそのゴールを実現するためのキードライバーとして選んだのがIcebergというわけだ。今後、Snowflakeのイノベーションにより深く関わってくる技術として注目しておきたい。

2024年9月にSnowflake World Tour Tokyoのために来日したSnowflake CEOのスリダール・ラマスワミ氏。
2024年2月にCEOに就任したラマスワミ氏はGoogleで長くエンジニアリング部門のトップを務めてきた生粋のデータサイエンティスト。データがビジネスにもたらす価値を知り尽くしている同氏が、データプラットフォーマーとして次のチャレンジを迎えているSnowflakeをどうリードしていくか、その手腕に期待がかかる
[1] ブログ「Polaris Catalogがオープンソースに」(Snowflake、2024年7月30日)
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
五味明子(ゴミ アキコ)
IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア