NICTが展開するセキュリティ人材育成プログラム
他にもNICTには、「サイバーセキュリティネクサス」という組織があり、活動の一つとしてセキュリティ人材の育成に取り組んでいる。
サイバーセキュリティネクサスとは、日本国内のサイバーセキュリティ情報を集積・分析し、国内のセキュリティ技術向上や人材育成のための共通基盤を構築して、「産官学の結節点(Nexus:ネクサス)」として提供することを目指す組織だ。
サイバーセキュリティネクサスの中で、現在は「Co-Nexus」と呼ばれる4つのプロジェクトが進行中だが、そのうち高度なセキュリティ解析者の育成と脅威情報の生成・発信に取り組む「Co-Nexus S」と、演習基盤解放による国内セキュリティ人材育成事業の活性化を目指す「Co-Nexus C」の2つにおいて、それぞれ独自の人材育成施策が実践されている。
まず、Co-Nexus Sでは、SOCにおいて脅威情報の解析作業を担える高度なスキルを備えた人材の育成に取り組んでおり、半年間のオンライン学習コースとともに、実際にNICTの解析チームの一員として脅威の観測・分析業務に従事することで、実践的なスキルの習得を目指すOJTコースも提供している。
また、Co-Nexus Cでは、NICTが構築・運用するサイバーセキュリティ演習基盤「CYROP(Cyber Range Open Platform)」を大学や民間企業などにも開放し、NICTが独自に開発した演習教材なども併せて提供することで、国内のセキュリティ人材育成事業の活性化を図っているとのことだ。
「NICTでは、こうした様々な活動を通じてセキュリティ人材の育成に取り組んでいます。また、セキュリティ人材は組織を守る“スーパーヒーロー”ですから、それに見合う処遇を与えることが、最終的には組織防衛につながります。これから人材育成の課題解決に取り組む皆さんにも、ぜひNICTの人材育成プログラムの活用を検討いただければ幸いです」(井上氏)