デロイト トーマツ グループ(デロイト トーマツ)は、GX人材の市場規模を推計するとともに、キャリアの志向性やリスキルなどの実態および課題を明らかにする「グリーントランスフォーメーション人材調査」を実施。その結果分析レポートを発表した。
同調査では、全国の20〜50代のフルタイム就業者131,970人に対してスクリーニング調査を行い、そのうちGX関与領域においてGX職種に従事する人材4,017人を「GX人材」と位置づけたという。性別・年齢構成比が実際の日本の労働者と同一になるように、回答者の属性別割合を補正したうえで、GX人材の出現率を推計すると8.5%となり、日本の就業者人口約3,000万人のうち254万人にとどまっているとわかった。
また、GX人材は男性・女性ともに年代が低いほど割合が高い傾向にある。また、GX人材にその他の回答者である非GX人材1,111人を加えた、計5,128人を対象にWEBアンケートを行ったところ、GX人材が領域を変えながらGX職種に従事している状況だとわかったとのことだ。
詳細な調査結果は以下のとおり。
今後のGX関連業務への関与意向も56.7%にとどまる
GX人材の平均年収(管理職:952万円、非管理職:600万円)は、非GX人材の平均年収(管理職:903万円、非管理職:531万円)よりも、管理職で49万円、非管理職で69万円高いという。その一方で、今後もGX関連業務に関わりたいと考えるGX人材は56.7%と半数程度にとどまっているとのことだ。
GX人材は挑戦機会や専門性を追求しつつも、ワークライフバランスや柔軟な働き方を重視
GX人材の仕事に対する価値観や魅力的と感じる会社・仕事について尋ねたところ、「仕事とプライベートは、別々に分けたい」(75.0%)「社員全員の総合力で成長する会社」(74.7%)「キャリアや能力の開発機会は、自分自身が社内外でのチャンスを求めるものだ」(74.6%)という回答が多かった。
全体傾向として、GX人材は挑戦機会や専門性を追求しつつも、ワークライフバランスや柔軟な働き方を重視することがうかがえると同社は述べる。企業がGX人材の志向性を理解して就労環境を整えることも、今いるGX人材の活躍を推進し、さらに人材を増やしていくうえで重要だとした。
GX人材は、事業開発フェーズには文系、研究開発フェーズには理系が多い
今回の調査においてGX人材は、電動自動車・蓄電池等の領域に最も多く(2,163人)、次いで風力・太陽光・地熱(1,135人)の領域に多かった。同じ産業の中でも、研究開発フェーズにある領域では理系職種の割合が高く、事業開発フェーズにある領域では企画・営業職などの文系職種の割合が高い傾向にあるという。
たとえば、エネルギー産業において、風力・太陽光・地熱の領域では、文系職種が理系職種の割合よりも高いのに対して、次世代熱エネルギーの領域では、理系職種が文系職種の割合よりも高いとのことだ。
理系GX人材によるGX業務従事後のリスキル分野は、数学・素粒子・宇宙系(36.3%)、バイオ工学系(31.5%)が特に多く、最終学歴の学習分野に限らずリスキルが行われている。
調査概要
- 調査形式:Webアンケート方式
- 調査時期:2024年5月1日~2024年5月8日
- 調査対象:131,970名(スクリーニング調査)、5,128名(本調査)/全国の20代~50代のフルタイム勤労者/高等学校卒業後、大学以上の教育あるいは専門的な職業訓練を修了した者/会社役員、会社員、公務員・団体職員、契約社員・嘱託社員、自営業・フリーランスに該当する者
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