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なぜHRテック導入で成果を得られないのか、HRのグローバルリーダーが指摘する根本的要因とは

人的資本経営の深化と生成AIの活用──今求められるCHROとCIOの協同

 企業価値の源泉として「人的資本」(Human Capital)への注目が世界的に高まっている。日本でも上場企業などを対象に有価証券報告書での開示が義務化されると、その対応に苦慮している企業も少なくない。では、先行している欧米では、どのように向き合っているのだろうか。IBMにおいて、HRとタレントコンサルティング事業のグローバルリーダーとして、世界中のクライアントを支援している、ジル・ゴールドスタイン(Jill Goldstein)氏に話を訊いた。

人的資本経営とCHROの役割──グローバルトレンドからひも解く

 北米において人的資本経営の議論が本格化したのは、2019年頃だろう。そこから約5年が経過する中、人的資本経営について「(グローバル共通で)企業における最大の資産は『人』であり、組織の差別化要因であることも認識されています」とゴールドスタイン氏。テクノロジーの変化が加速する中では、人事担当者の役割も拡大していると指摘する。

 「最適な人材を発見し、惹きつけ、育成し、維持するだけでは不十分です。たとえば、新たなテクノロジーを導入する際には、従業員が恐れずに活用できるように、その不安を軽減することまでも求められています」

 そうした変化の渦中、重要な役割を担わなければならないのは「CHRO」(Chief Human Resources Officer:最高人事責任者)だ。

 日本企業での設置はまだ少ないものの、事業戦略に人的資本を組み込んでいくことを支援するためのエグゼクティブが求められるようになってきた。とはいえ、「重要なのは『CHRO』という肩書きではありません。CEOやCFO、CIOがHRのリーダーシップを『ビジネス戦略の一部』として受け入れているかどうかが重要なのです」と指摘する。これが実現している組織は、グローバルへの進出や新規事業参入などにおいても成果をあげているという。

 たとえば、ゴールドスタイン氏が所属するIBMのような大手企業では、「ビジネスの需要」と「労働力の供給」を結びつけた上で、従業員のスキル獲得や育成、雇用維持に関する具体的な人材戦略を立案。事業戦略を踏まえながら、人的資本にかかわるデータを分析できている。ゴールドスタイン氏は、こうした機能を人事部門に置くことが重要だと話す。それは単に人員の増減を管理するだけでなく、いかにスキルを磨いていけるかを指している。どのようなツールが利用でき、どのスキルを開発すべきか。しっかりとした見通しを立てることが、人的資本経営の初歩だという。

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溢れるHRテック、人事部門とIT部門の協同なしでは“無用の長物”に

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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