CopilotとAIエージェントのパフォーマンス評価も可能に
その後のデモで紹介されていた営業とエージェントの新しい働き方は、次のようなものだ。
営業エージェントが、顧客の発注シグナルをモニタリングしている。このエージェントは、クロスセルまたはアップセル機会の兆候を発見したら、営業にアラートで教えてくれる。たとえば、長く取引のある顧客の注文内容から他の製品の注文機会の兆候を発見したとする。エージェントは注文を迅速に処理し、追加の発注可能性があると営業に知らせる。営業は商談の準備に取り掛かる。
営業は最新の製品情報と今後のロードマップを確認しようと考えた。SharePointを起動すると、営業はSharePointエージェントへの依頼だけで、必要な情報を得られる。この顧客との商談は久しぶりのため、営業は最新の顧客動向に関する情報を得なくてはならない。調べてみると、商談の責任者が変わっていることに気づいた。今度はLinkedInを起動する。LinkedIn Sales Navigatorのエージェントに依頼すると、商談のキーパーソンの詳細なプロファイルがわかる。ここに至るまでにCRMを起動する必要はなかった。
商談が成功した。今度はSAPを起動し、SAP Jouleに最新の価格表を基に見積書を作成するように依頼する。下書きを確認したら、顧客に送信する。前述のパートナー企業の多くは、独自にエージェントを提供している。営業エージェントがこのエージェントとのやりとりする利用方法も想定内だ。マイクロソフトは、このエコシステムを強化し、アプリケーションに組み込まれたエージェントでビジネスプロセスを変革しようとしている。
加えて、Copilot Studioを利用し、独自にエージェント構築もできるようにした。「Wordドキュメント、PowerPointスライド、Excelスプレッドシートを作成するのと同じくらい簡単に、カスタムエージェントを構築できるようにしたい」とナデラ氏は述べた。Copilot Studioは、プロンプトへの回答ができる単純なものから、自律的に動作する複雑なものの構築にも対応できる。
最後、3つ目の戦略的要素がROIの評価である。Copilotやエージェントを使いこなしていくほど、そのパフォーマンスを高めることが重要になる。AIのパフォーマンスを評価のために新しく発表したのが「Copilot Analytics」である。これはビジネスマネージャーに、CopilotやAIの利用状況とビジネスKPIを関連付けて評価できるようにするものだ。たとえば、営業のテリトリーマネージャーであれば、受注率と組み合わせてAIのパフォーマンスを評価できるようにしたい。Copilotでもエージェントでも、営業だけでなく、他の部門でも継続的な改善を通してROIの最大化を実現できるよう、専用の環境をマイクロソフトは提供する。