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2030年には「AIコンバージェンス」が日本を激変させる?AI時代のトップ企業に必要な“知の循環”

「IT Trend 2024」講演レポート:“ゆるやかに連帯”した組織構造が生み出すイノベーション


 ここ数年続くDXのトレンドをさらに加速させているAI。なかでも深化の著しい生成AIによって、日本企業のDXはどのような進展をたどっていくのだろうか。今回は、2030年代に起こるトレンドとして「AIコンバージェンス」という概念を生み出したアイ・ティ・アール(ITR)の会長/エグゼクティブ・アナリストである内山悟志氏の講演をもとに、今後10年で日本企業が競争戦略を取り戻すためのヒントを探っていく。

産業構造の激変を起こす「AIコンバージェンス」とは

 講演は大きく「DXの先に注視すべきテクノロジートレンド」「AIが前提となる時代の競争優位性」「AIコンバージェンスに向けた組織の在り方」の3テーマに分けて論じられた。

 まず、昨今の避けて通れないテクノロジートレンドとして挙げられたものが生成AIだ。内山氏は、生成AIについて「インターネットが登場したときと同等か、それを超えるようなインパクトを社会や産業にもたらすテクノロジー」とした上で、次のように続ける。

 「テクノロジーの歴史を振り返ると、自動車であれば登場から普及まで80年ほど、インターネットは20年ほどかかっています。時代を経るごとにこのサイクルは短くなっていますから、生成AIはもう10年もすれば、さまざまなモノやサービスに組み込まれる時代が来るでしょう」(内山氏)

株式会社アイ・ティ・アール 会長/エグゼクティブ・アナリスト 内山悟志氏

 ポストDXのキーワードとして内山氏が挙げるものが「AIコンバージェンス」だ。コンバージェンスとは「収束」を意味する言葉であり、テクノロジーの世界ではカギを握る重要な概念である。コンバージェンスの例として内山氏はドローンを挙げる。

 昨今、ドローンは小型化や高性能化が進んでいるが、この背景にはスマートフォンの進化が大きく影響しているという。多くの人が使うスマートフォンでは、各社がしのぎを削り、小型化やバッテリー性能の向上、ジャイロ機能やGPS機能のアップデートなどを競っている。これによって、数年前は高価格のため普及していなかった技術が広く普及するようになった。こうした技術を横展開する形でドローンにも生かしたことで、短期間でドローンの高性能化が進んだと内山氏。この現象と同様に、これからはAIの進化にともなって生活家電やビジネスで用いられるIT技術などさまざまなものが矢継ぎ早に進化し、新たな付加価値が指数関数的に生まれる“AIコンバージェンスの時代”が来るだろうと述べる。

 続けて内山氏は「テクノロジーの変化とともに、産業構造も変化していきます」と指摘。たとえば、インターネットが生まれる以前の製造業が主体だった時代には、バリューチェーンに沿って付加価値の源泉となる工程を取り込んでいく垂直統合による産業構造が主流だった。すなわち、資本や従業員などの「量」がモノをいう“規模の経済”の時代だ。

 しかし、インターネットが登場してからは、より俊敏性や柔軟性が問われるようになっている。そして、これから訪れるAIコンバージェンスの時代には「テクノロジーに強い企業を中心として、さまざまな企業が連携していく“クラスタ型”の産業構造になる」と内山氏は予測する。

 「たとえば医療とハイテク通信、といった業種の枠を超えた連携も当たり前になっていくはずです。ピラミッド型のかっちりとした連合体ではなく、その時のニーズに応じて、あるときは競合に、あるときはパートナーになり得るようなゆるやかにつながった産業構造ができてくる。これこそがAIコンバージェンス時代のスタンダードになると考えています」(内山氏)

ITR提供資料より抜粋
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この記事の著者

鬼頭 勇大(キトウ ユウダイ)

フリーライター・編集者。熱狂的カープファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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