The lesson:今回のVMware騒動から学ぶ教訓
ハーヴェイ氏はセッションの最後に「ITリーダーのための行動計画」として、VMwareの(次の)契約更新に向けて以下の提案を行っている。

出典:Gartner (2024年12月)
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どういう選択を取るかはもちろん企業によるが、今回のライセンス体系の変更に影響を受けないVMwareユーザー企業はまず存在しない。いまだ続くこの混乱から企業は何を教訓とすべきなのだろうか──ハーヴェイ氏は「1つの企業にインフラの重要部分を依存してしまうことがいかにリスクが高いか、多くのユーザー企業が身をもって知ったことだろう」と語る。
仮想化基盤ベンダーとしてのVMwareのシェアは圧倒的で、製品の機能も成熟しており、それゆえに市場で競争原理が働くことはほとんどなかった。今回のライセンス体系の変更とそれにともなう大幅な値上げが起こらなければ、ほとんどのユーザー企業がビジネスの重要な基盤であるインフラをVMwareに依存したままにしていたかもしれない。だが、それはビジネスの決定権を1ベンダーに預けていた状態に近いともいえる。ハーヴェイ氏は次の契約更新時である3年後、5年後だけでなく、「10年後、あるいはもっと近い将来、顧客は再び自社のインフラを見直す必要が生じるだろう」と語る。
それは決してVMwareに限った話ではなく、ハイパースケーラーや他のインフラベンダーの動向、あるいはテクノロジーの進化や社会/国際情勢の変化によって何らかの見直しを迫られる可能性は十分にある。そうなったとき、自社のインフラに関して誰が主導権を握って意思決定を行うのか、今一度、ITリーダーと呼ばれる人々が考えておくべき課題である。