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1年経っても冷めやらぬVMware買収騒動の余波……場当たり的な“離脱”の前に考えるべきポイント

インフラの決定権をユーザー企業が握るために──Gartner トニー・ハーヴェイ氏が語る

How influenced:値上げによる顧客への影響

 ただ、若干の軟化の兆しは見せているものの、Broadcomが示したVMware製品に対する基本方針──サブスクリプションビジネスの徹底とVCFへのフォーカス──は今後も維持されることは間違いない。つまりVMwareユーザー企業のほとんどが大幅な値上げの影響を受けることになる。今回のライセンス変更を受けてユーザー企業はどのように反応したのだろうか。

 ハーヴェイ氏はGartnerの調査結果から「VMwareの既存顧客のうち、95%がそのまま契約を更新(通常は3年契約)したが、コア数や規模の適正化、ライセンスの見直しによる契約のスリム化を図った企業も少なくない。契約を更新する一方で、80%の企業が“VMware以外のソリューションに移行したい”と検討を始めている」と説明する。前述のようにBroadcomがライセンス変更を宣言したのが2024年12月、そして新しいライセンス体系がスタートしたのが2025年2月と、顧客にはほとんど猶予期間が与えられなかった。したがって自社のインフラ基盤をVMwareに依存していた企業のほとんどは契約更新をせざるを得なかったといえる。

 また、この変更により当然ながらほとんどの顧客がVMwareからの移行を検討し始めたが、ハーヴェイ氏は「VMwareからのインフラ移行は簡単ではなく、また移行を開始したとしてもすぐに完了できることではない」と脱VMwareの難しさを強調する。

What to do:3年後、5年後のインフラをイメージせよ

 ではVMwareユーザーは今後、どのような選択をすべきなのか。ハーヴェイ氏は「短期的には契約更新が必要になるのはやむを得ないが、その契約期間が終了したあと、自社インフラをどのような姿にしたいのかを明確にしておく必要がある」と語る。VMware製品のサブスクリプションライセンの期間は1年/3年/5年のいずれかだが、ほとんどの企業が3年、または5年を選択している。次の契約更新時となる3年後、または5年後に自社のインフラがどうなっていることを望むのか──その姿をユーザー企業自身が明確に描いておかなければ、また再びインフラ戦略をベンダに振り回される事態が起こりかねない。

 ハーヴェイ氏はまず、VMwareユーザー企業は以下の2つの選択肢に向き合う必要が生じるとしている。

  1. 今後も自社インフラのコアとしてVMware製品を使い続ける:コスト増は避けられないがリスクは少なく、社内に蓄積したVMwareスキルをもつ人材やノウハウをそのまま活用できる

  2. VMwareから他社製品に乗り換える:大幅なコスト削減を実現できる可能性は高いが、移行にともなうリスクは大きい。また「他社製品による再仮想化」「パブリッククラウドへのリフト&シフト」「まったく新しいインフラへのリアーキテクト/モダナイズ」など選択した方向性によってリスクの種類や大きさが異なる

 いずれを選択するにしてもメリットとデメリットがある。以下、ハーヴェイ氏によるそれぞれの選択における留意点を紹介する。

今後もVMware製品を使い続ける

 たとえ移行リスクがほとんど生じない継続使用を選択をした場合であっても、次回の契約更新時までにその内容を見直しておくべきである。特に今回の変更で大幅なコスト増に見舞われた企業であれば、規模の適正化や(CPUなど)リソースの集約/最適化、あるいは特定のサーバーやアプリケーションの廃止なども含めたコスト削減案を複数検討すべきだろう。

 また、基幹インフラはそのままVMware環境を維持しつつ、ビジネスに与えるインパクトがそれほど大きくないワークロードやアプリケーションをパブリッククラウドなどVMware以外のプラットフォームに移行することも検討に値する。契約内容の見直しと同時に物理リソースやソフトウェアの見直しを図れば、インフラの適正化を低リスクで実現することが可能になる。

 もう一つ、契約更新の見直しにあたって重要なポイントが「適切なバンドル(エディション)を取得する」という点だ。ハーヴェイ氏は「特にVCFユーザーはその必要性をよく検討するべき」とアドバイスする。VCFはBroadcomがもっとも力を入れているバンドルだけに割引率も大きいのだが、インフラによっては(NSXやHCXが含まれていない)VVFで十分にカバーできるケースも少なくない。ただしVVFの注意点としてハーヴェイ氏は「vSANのエンタイトルメント」を挙げている。VVFに含まれるvSANはトライアル提供であるため、利用可能な上限は1コアあたり250GBと少なく、追加したい場合は1コアあたり1TB単位でアドオンを購入する必要がある。

 「VMwareをインフラのコアとして使い続けるという選択をしたとしても、本当に必要で実際に使用する機能はどれかを理解しておくことで、コストを削減し、(アプリケーションも含めた)適正なサイズのインフラを構築することにつながっていく」(ハーヴェイ氏)

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VMwareから他社製品に乗り換える

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五味明子(ゴミ アキコ)

IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...

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