2024年12月26日、IFSは、2025年の主要産業におけるトレンドを発表した。
同レポートでは、主要産業におけるインダストリー5.0、AI、持続可能性などのトレンドを掘り下げている。詳細は以下のとおり。
インダストリー5.0の夜明け
2025年は、インダストリー5.0が台頭すると同社は述べる。インダストリー5.0は、IoTやビッグデータなどの既存のテクノロジーを基盤としながら、人間と機械のコラボレーションと持続可能性に重点を置いているという。これは、環境、社会、ガバナンス(ESG)の原則を統合し、前向きな変化をもたらすとのことだ。
産業用AIの成熟
産業用AIは、成熟期を迎えているという。機械学習やIoTなどのテクノロジーを統合することで、産業用AIは製造業を最適化するとともにサプライチェーンを強化し、予測メンテナンスを改善するとのことだ。これにより、産業は無駄を抑え、リアルタイムでの適応性を確保しながら、より効率的な運用が可能になるとしている。
しかし、AIが変革をもたらすためには、実際に測定可能な価値を提供し、産業の中核的な課題を解決する必要があると同社は述べる。AIは単独のソリューションではなく、包括的な戦略の一部であるべきだとした。AIを戦略的に実装する産業は繁栄するが、表面的なアプリケーションに依存している産業は失望のリスクを抱えるという。
リアルタイム企業が勝つ
2025年、企業はリアルタイムのビジネスモデルに移行し、信頼できるリアルタイムデータに基づいて意思決定を行うようになると同社は予測する。企業全体の意思決定は複雑で、実装後の変更にはコストがかかる。しかし、全体的な視点と運用インテリジェンスを備えたリアルタイムデータは、効果的な意思決定の鍵になるとのことだ。
持続可能性と投資のギャップ
サステナビリティについて、投資資金の流れと環境へ大きな影響が与えられる場所との間にはギャップがあるという。たとえば、電気自動車(EV)は注目を集めているにもかかわらず、炭素排出問題の5%しか占めていないとのことだ。
AIは、製造や物流、資源管理など、影響の大きい分野に資本を振り分けることに役立つと同社は述べる。バリューチェーン全体でオペレーションを最適化し、持続可能性を監視するAIの能力により、これらの分野を変革する準備が整っているとした。
脱炭素化:新たな宇宙開発競争
2025年までに、脱炭素化は宇宙開発に近い競争の舞台になると同社は予測する。中国などは既に前進しており、欧州の規制枠組みは、企業に持続可能なサプライチェーンの採用を促しているとのことだ。この競争では、大胆で積極的な措置を取る企業に軍配が上がるとしている。
労働力の変革
ベビーブーマー世代の退職が迫っており、2030年までに企業に影響を与えるという。米国人の5人に1人が退職することが予測され、企業は労働力戦略を見直す必要があるとのことだ。
人事担当者やビジネスリーダーは、これらの変化を予測して適応する必要があるという。AIやロボティクスなどのテクノロジーを活用し、特に専門的なスキルに依存する業界では、労働力不足に対処し、退職する労働力の頭脳流出を防ぐ必要があるとしている。
建設業界のトレンド:効率化のための産業化
建設業界には2025年、デジタル革命の気運が訪れると同社は述べる。AI、クラウド技術、オフサイト建設を採用することで、業界はプロセスと材料を標準化し、コストを削減。業務効率化が図れるという。
産業化されたアプローチに向けて、建設業界は工場のようなモデルを採用できるとしている。レゴのように標準化された部品を使用して、複雑な構造物をより効率的かつ持続可能な方法で建設できるとのことだ。
2025年の製造業:近代化とサーキュラーエコノミー
製造業は、AIとロボティクスによって近代化が進んでいるという。企業が人材不足に直面し、持続可能性を向上させる必要がある中、再製造やサーキュラーエコノミーの実践といった技術が不可欠になるとしている。
2025年には、レガシーシステムからAIを活用したクラウドベースの技術への移行により、効率性が向上。製造業者は持続可能性の目標を達成し、進化する市場で競争力を維持できるようになるという。
未来を支える:2025年のエネルギーと公益事業
エネルギー・公益事業・資源(EUR)部門は、気候変動からテクノロジーの破壊といった課題に直面。AIと自動化は、電力網の近代化から負荷需要のリアルタイムバランスまで、この変革において重要な役割を果たしているとのことだ。
この部門の企業は、運用の最適化、ダウンタイムの削減、グリッドの信頼性向上のために、予測メンテナンスと異常検出を利用しているという。これらは、将来のエネルギー問題に対処するための重要なステップだと同社は述べている。
通信企業:5G革命
2025年、通信企業は運用効率の最大化に努めながら、5Gの展開に必要な投資に取り組んでいるという。クラウド技術とデータ統合への移行は、企業が増大するインフラストラクチャのニーズを管理しながら、初期修理率の向上、コストの削減、二酸化炭素排出量の最小化に役立つと同社は説明した。
同時に、通信企業は、コンテンツを生み出したり、提携したりする競争を繰り広げる、コンテンツ企業になりつつあるとのことだ。これには、継続的な投資とメンテナンス、顧客サービス、競争からの価格圧力、規制の管理を必要とするインフラストラクチャの管理といった課題がともなうと同社は述べる。
航空宇宙と防衛:コンプライアンスとサイバーセキュリティと歩調を合わせる
航空宇宙産業や防衛産業にとって、複雑な規制環境をナビゲートすることは、2025年の最大の課題の1つになると同社は予測する。サイバーセキュリティの脅威が高まり続ける中で、コンプライアンスを確保することは重要だという。
AIを活用したツールは、防衛関連企業が規制の変化を先取りし、セキュリティプロトコルを強化することに役立つとのことだ。
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