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「Copilot for Microsoft 365」を使いこなす

「Copilot Studio」の使い方──AIエージェントを構築/ドキュメント作成効率化のコツも

「Copilot for Microsoft 365」:ドキュメンテーション/Copilot Studio編

 MicrosoftからOpenAI社のGPTエンジンを用いた「Microsoft Copilot」が提供されると、ExcelやWordなどのOfficeアプリスイート「Microsoft 365」にも組み込まれることになりました。連載「『Copilot for Microsoft 365』を使いこなす」では、『神速Excel』(ダイヤモンド社)の著者である中田元樹氏が“使いこなし”のテクニックを伝授。第6回は、「Copilot Studio」にフォーカスしてお届けします。

はじめに

 前回のExcel/PowerPoint Copilot編では、Excel CopilotとPowerPoint Copilotの概要とその課題、そしてCopilotを用いたドキュメンテーションのベストプラクティスについてお伝えしました。

 第6回では、これまでご紹介してきたCopilotを用いたドキュメンテーションの具体的な手順とノーコードで自分・自社専用のCopilot(エージェント)を作成することができる「Copilot Studio」について取り扱います。

 まず、Copilotを用いたドキュメンテーション手法の最大の特徴は、「Copilot機能を適材適所で活用することで、ドキュメント作成の効率を飛躍的に向上できる」という点にあります。具体的には、Copilotチャットにて情報収集や整理、下書きなどを行い、最終的な資料作成は人間が手を動かして行うことで生産性を向上させることができます。

 また、Copilot Studioはプログラミングの知識がなくても、誰でも簡単に自分・自社専用のCopilotを開発できる画期的なツールです。自然言語での対話形式で組織特有の業務フローや知識に特化したチャットボットを作成することができ、問い合わせ対応からRPA(業務自動化)まで、幅広い用途での活用が期待されています。

 本稿では、Copilotを用いたドキュメンテーションの具体的な手順、Copilot Studioの概要やCopilot Studioでのエージェントの具体的な作成手順について紹介していきます。

Copilotを用いた「ドキュメンテーション」のベストプラクティス

 まずは、Copilotを用いたドキュメンテーションの全体像を改めて確認していきましょう。ドキュメンテーションは、大きく「1. 設計/パーツ定義」「2. PowerPointの作成」の2つのフェーズに分かれます。

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 このうち、「1. 設計/パーツ定義」フェーズにおいて、Copilotチャットが支援できる機能を具体的に洗い出すと、以下の7つになります。

  • 資料の構成案作成:資料の大枠や構造を提案
  • 情報の構造化:論理的な整理のためのフレームワークを提示
  • 自由なアイデア出し:瞬時に多様なアイデアを列挙
  • 定性的情報の肉付け:各要素に対する定性的コメントの作成など
  • 情報収集/または収集した情報の整理:特定トピックの基本情報提供
  • データ解析:統計解析や予測モデルの作成
  • パーツ生成:アイコンやアイキャッチの作成

 なお、「2. PowerPointの作成」フェーズは、依然として人間のスキルが重要になります。質の高いプレゼンテーション資料の作成には、以下の要素が不可欠です。これらの要素は、人間側の徹底的な学習と訓練によって身につけていく必要があります。

  • 基本操作の習得(必要な操作の95%を網羅)
  • 適切なテンプレート・デザインの選択
  • ノイズの少ない美しいスライド作成手法の習得

 なぜ、Copilotではなく人間による作業が必要かは、第5回の「Excel/PowerPoint Copilot」編にてPowerPoint Copilotの課題をお伝えしているので、ぜひそちらをご参照ください。

 本章では、Copilotチャットが支援できる上記の7つの機能のうち、以下5つの機能について実際に作業を進めながら、詳細な手順を紹介していきます。

  • ① 情報収集・整理
  • ② 自由なアイデア出し
  • ③ 情報の構造化
  • ④ 定性的情報の肉付け
  • ⑤ 資料の構成案作成

 ここで簡単に第2回のWord Copilot編にてWord Copilotが考えてくれた香水ポップアップ企画の内容を復習しておきましょう。「秋の男性用香水のポップアップの企画を考えてください」というプロンプトで企画書作成を依頼したところ、「秋風のノスタルジア」という20代から40代向けのコンセプトで、伝統的な街並みが残る京都の祇園地域での出店をお勧めしてくれました。

 そこで今回は、その企画を具体化するためにどのような香水を開発するべきか、Copilotチャットと一緒に検討していきたいと思います。最終的には、経営層に香水の開発許可を得るための説得力のある資料を作成することを目指します。

① 情報収集・整理

 まずは情報収集から始めていきましょう。香水を開発するためには市場調査や競合分析などが必要ですが、既に競合分析やターゲット層の詳細な分析は完了していました。そこで今回は、Copilotチャットを活用して“秋冬の人気香水”の最新トレンドを調査していきたいと思います。

 調査対象を20代から40代の男性に設定した上で、「秋冬向けの人気香水の傾向を調べてください」とCopilotチャットに依頼したところ、指定した調査項目ごとに詳細な調査結果を出力してくれました。

 私たちの企画コンセプトである「秋風のノスタルジア」と親和性の高い要素(温かみのある木の香り、スパイシーな香り、エレガントなデザイン)も多く含まれています。

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② 自由なアイデア出し

 続いて、これまでの市場調査や競合分析の結果を踏まえ、具体的な香水のアイデアを検討していきましょう。Copilotチャットには、先ほどの競合分析の結果をまとめたレポート(Wordファイル)を添付した上で、「秋冬の人気香水の傾向と競合分析の情報を踏まえて、コンセプトにふさわしい香水のアイデアを3つ出してください」とお願いしました。すると要望通り3つのアイデアを検討してくれました。これらの提案は、いずれも「秋風のノスタルジア」というコンセプトや市場調査情報とも合致しています。

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③ 情報の構造化

 続いて、上記3つの香水アイデアを構造的に比較・検討していきましょう。Copilotチャットには「比較項目を洗い出したうえで、ターゲットの情報を元に香水のアイデアを比較・整理してください」とお願いしました。すると、まず以下6つの比較項目を提示してくれました。

  1. 香りの好み
  2. 使用シーン
  3. デザインとパッケージ
  4. 価格帯
  5. 持続性
  6. 独自性と差別化

 その上でターゲットの情報を元に“香水案”を表形式で比較し、総合評価まで出力してくれました。総合評価上はアイデア1と3が同じ評価ですが、内訳を細かく見ると1の「ウッドランド・リフレクション」のほうが高い評価であり、納得感も高いので開発する香水はこちらに決定します。

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 これらの情報をより具体的に肉付けしていくため、次のステップ「定性的情報の肉付け」に進んでいきましょう。

④ 定性的情報の肉付け

 ここでは3つの案から特に魅力的だった「ウッドランド・リフレクション」に焦点を当て、より具体的なコンセプトストーリーを作成していきます。Copilotチャットに「ウッドランド・リフレクションに対してコンセプトストーリー情報の肉付けを行ってください」とお願いしました。特に、“京都祇園の秋風”の情景や感覚を想起させる要素を意識的に取り入れるようにリクエストしています。すると、香水のインスピレーションの源、情景描写などに加えてターゲット層への訴求まで示してくれました。これらの要素を活かしながら資料の構成案を作成していきます。

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⑤ 資料の構成案作成

 最後のステップとして、これまでの検討内容を経営層に効果的に伝えるための資料構成を考えていきます。Copilotチャットには「上記の香水について、包括的なマーケティングおよび商品開発資料の構成案を作成してください」とお願いしました。すると各スライドをタイトル、メッセージ、ボディに分けた上で明確な構成案を提案してくれました。

 たとえばスライド8「アイデアの比較と選定理由」では、「③情報の構造化」で行った比較・評価結果を反映してくれています。

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 これで「1. 設計/パーツ定義」フェーズにおける5つのステップが完了しました。この後は「PowerPointの作成」フェーズに移り、この構成案を基に実際のプレゼンテーション資料を作成していくことになります。

参考:PowerPointの作成

 最後に、実際に作成したスライドの一例をご紹介します。先ほどの構成案の中のスライド8「アイデアの比較と選定理由」をCopilotチャットの情報を元に実際作成してみました。

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 今回、紹介したようにCopilotチャットを活用することで、情報収集からアイデアの創出、構造化、そして具体的な資料作成まで効率的に進めることができました。ただし、最終的な判断や資料の品質向上には、人間のスキルが不可欠です。Copilotの特性を理解し、適切に活用することで、より質の高いドキュメンテーション作業が可能になるでしょう。

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AIエージェントをノーコードで構築できる「Copilot Studio」

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この記事の著者

中田 元樹(ナカタ ゲンキ)

教育業界からコンサルタント転身後、データ分析を強みとし、さまざまなプロジェクトで活躍。2018年に独立。筆者が代表を務める株式会社DIK&Companyはビジネスパーソンのデータ/情報を扱う力を高める研修を提供。最近ではCopilotをはじめとした生成AI研修を多くの企業に導入しており、社員...

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