SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Security Online Day 2025 春の陣

2025年3月18日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

運用現場のモダナイズ~複雑・サイロ化への処方箋~

内製化の推進で直面するIT人材不足……オブザーバビリティを基盤にSRE実践で運用を高度化へ

第4回:SREメソドロジーの活用で切り拓く共創型ITサービス運用の時代

オブザーバビリティによる可視化は単なる監視の延長ではない

 ビジネス価値の創出を目指して既存のIT運用サービスを見直すには、単にクラウド・ネイティブの技術を活用してレガシーなITシステムをクラウドに移行するだけではなく、運用組織の体制変更や役割の再定義といった運用トランスフォーメーションも求められます。ユーザー企業の業務プロセスに応じた運用組織を編成し、それぞれの業務プロセスを担当するチームがシステム全体の可観測性を向上させるオブザーバビリティ・プラットフォームを効果的に活用することこそ、共創型のITサービス運用を実現する上で重要となります。

 オブザーバビリティは、システムを外部から観察する、すなわちシステムの内部状態を可視化することで、発生した事象の結果だけでなく原因に対しても深掘りする仕組みを提供します。メトリクス・トレース・ログの3つに代表されるテレメトリーデータに基づき、システム状態に異常が発生した際に迅速に障害原因を特定することが可能です。一例として、オブザーバビリティはレスポンス遅延という新たな脅威に対応するためにユーザー目線の監視・管理を実現します。

 加えて、オブザーバビリティを単なる監視の延長として捉えるのではなく、テレメトリーデータを効果的に活用して組織がどのような情報を意思決定の指針としているのかを示すこともできます。運用組織が目指す具体的な数値を可視化し、目標値に対する現在地を常に把握する、運用の鏡となる指標であることも重要な価値となります。

 では、具体的にどのようにオブザーバビリティを活用して共創型のITサービス運用を実現するのでしょうか。その鍵となるのは、SREのメソドロジーに基づいた高度なITスキルです。

 SREとは、Googleで発展したシステム管理とサービス運用の方法論で、ユーザー満足度を最大化させるためにソフトウェアエンジニアリングの技術を活用してシステムの信頼性を確保することを目的としています。2024年に発行されたO'Reilly Japanの『SREをはじめよう ―個人と組織による信頼性獲得への第一歩』では、「組織がシステム、サービス、製品において適切なレベルの信頼性を持続的に達成できるように支援する工学分野」として紹介されており、迅速かつ反復的なシステム開発と高可用性を担保したシステム運用を両立し、持続可能な開発・運用サイクルを目指します。

 ここで強調したいのは、SREのメソドロジーを活用することは、単なるインフラエンジニアが付加価値として自動化を推進することに留まらないという点です。もちろん、自動化はソフトウェアエンジニアリングの技術を活用するSREにとって不可欠なスキルとなりますが、本質はユーザーの満足度を最大化しながらもビジネスのアジリティを高めるというトレードオフの関係に重点を置いて運用を効率化することにあります。

 SREが目指すITサービス運用では、オブザーバビリティを基盤にサービスレベルの向上と継続的な改善活動が必要不可欠です。信頼性を数値として可視化した指標のSLI(Service Level Indicator)、そして目標値となるSLO(Service Level Objective)を定義し、データに基づいて迅速性と可用性のバランスを重視した意思決定を行います。また、組織内で蓄積されたスキルセット・ノウハウを共有し合い、取り扱うサービスが同一の開発チームと運用チームの境界線を曖昧にすることで、ITサービス開発・運用の双方が利益を享受する持続可能な価値提供を実現します。

画像を説明するテキストなくても可

[クリックすると拡大します]

次のページ
著者が実践する3つの重要な役割

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
運用現場のモダナイズ~複雑・サイロ化への処方箋~連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

竹屋 正樹(タケヤ マサキ)

 キンドリルジャパン株式会社 シニアマネージャー兼SRE 2016年、日本IBMに入社。2021年、IBM分社化に伴いキンドリルジャパンに移籍。 Infrastructure as Codeの概念に基づき、システム構築・運用業務を自動化するプラットフォームの設計・実装・運用を経験。現在はエンタープラ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/21360 2025/02/26 09:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング