ラクスは1月28日に記者発表会を開催し、新たな戦略とそれにともなう共通ID基盤「楽楽従業員ポータル」の提供開始を発表した。
説明会に登壇したラクス 取締役 兼 CAIO 本松慎一郎氏は冒頭、同社のこれまでの製品戦略について説明。戦略は大きく2つの柱からなり、その一つが特定の業務や特定の機能に特化した戦略アプローチ「ベストオブブリード戦略」だとした。経費精算業務であれば「楽楽精算」、請求業務であれば「楽楽請求」、販売管理業務であれば「楽楽販売」といったように一つのソリューションで一つの課題を解決するものがこれに該当する。
そして、これらのソリューションを組み合わせて大きな売り上げにつなげる「マルチプロダクト戦略」を2つ目の戦略として示した。
こうした戦略の成果として、楽楽精算はクラウド型経費精算システム市場において累計導入社数1位、「楽楽明細」「楽楽販売」「楽楽自動応対」などの各種ソリューションがそれぞれの業務領域においてシェア1位を獲得するなど、導入数を伸ばしていることを強調する。
新たな戦略の説明に入る前に、本松氏は現状の市場環境と課題について整理した。労働人口の減少を踏まえ、日本企業におけるソフトウェア投資額は上がってきているものの、デジタル化が進んでいるとはいえないと本松氏。「デジタル化による業務効率化やデータ分析への取り組みへの移行に課題がある」として、以下2つの課題を示す。
- 顧客自身で業務課題の特定が困難
- 一領域の業務課題解決にとどまり、他領域の課題解決に進まない
そこで同社は、新たな戦略として「統合型ベストオブブリード戦略」を発表。「楽楽クラウド」のブランドをさらに成長させ、特に複数領域でのDX推進に対して継続的な業務改善を支援していくという。
これまでのベストオブブリード戦略に基づいた楽楽クラウドは各ソリューションが独立しているため、ID情報やサイン情報といったマスター管理はソリューションごとに行わなければならず、連携させるにはAPI連携が必要だったと同氏は述べる。
一方、このべストオブブリード戦略と反対の戦略として「スイート型/コンパウンド型」がある。これは複数の業務領域やサービスを横断し、一体型で包括的な製品群を提供する戦略で、製品内での密な連携が可能な反面、個々の領域で最適な設計を行うことが困難だという問題がある。
今回発表した統合型ベストオブブリード戦略について本松氏は「ベストオブブリードとスイート型/コンパウンド型の“良いとこ取り”だ」と述べ、具体的な内容として以下の3つを示した。
1. 共通ID基盤「楽楽従業員ポータル」の提供
IDを一元管理し、楽楽クラウドの各サービスへシームレスにログイン可能な共通ID基盤「楽楽従業員ポータル」を提供すると発表。まずは社員マスターの一元管理機能を3月に提供開始する。
2. 楽楽クラウドのシームレスなデータ連携
7月には、楽楽明細のマイページで受領した請求書データを楽楽請求へ自動連携する機能を提供予定だとしている。また8月以降には、楽楽精算の伝票に添付した支払い関連の証憑を「楽楽電子保存」へ自動連携が可能に。これにより、電子帳簿保存法の対応と証憑の一元管理・検索を実現するという。
3. SaaS×Fintechによる提供価値拡大
5月にはクレジットカードとして機能する「楽楽ビジネスカード」を提供開始予定。ラクス独自のビジネスカードによって、カード利用明細を楽楽精算へ即時自動連携できるという。
また請求書カード払いサービスの提供も3月に開始予定だとし、楽楽電子保存の利用顧客へ請求書のカード払い機能を提供するとのことだ。
さらに、5月には銀⾏振込代⾏サービスも提供予定。楽楽電⼦保存の顧客が従来のインターネットバンキングにログインなしで⽀払い可能だとしている。
各新機能のローンチスケジュールは以下のとおり。
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