迫る「2025年の崖」 DX関連の案件発生数は昨年比1.3倍に
経済産業省が2018年に発表した『DXレポート』では、2025年以降、既存システムの老朽化によって最大年間12兆円(現在の約3倍)もの経済損失が発生する可能性が指摘されました。この「2025年の崖」と呼ばれる深刻な状況を乗り越えるためには、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が急務とされています。
こうした状況下、レバテックのデータによると、DX関連のフリーランス案件[3]発生数は2023年から2024年の1年間で134.4%増加しました。特に「プロジェクトマネジメント(PM)」や「コンサルティング」の案件が目立ち、顧客折衝や企画設計などの上流工程を担える人材への需要が急速に高まっていることがうかがえます。
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DX推進にともない「PM」の需要が増加、案件倍率は2.2倍
PMのフリーランス案件発生数は前年同月比213.6%と大幅な増加をみせており、案件倍率も2.2倍と最も高い結果となりました。従来、PMの需要は主にIT業界に集中していましたが、DX推進の加速にともない、業界を問わず幅広い企業で案件が発生しています。
中でも製造業や小売業などの非IT企業では、DX推進に向けた人材不足が深刻化しており、「社内にDXのノウハウが足りない」「優秀なPMの採用が難しい」といった相談が多く見受けられます。社内におけるDXに関する知見の不足、優秀なPMの採用難に直面する中、フリーランスの活用に目を向ける企業が増加していると言えるでしょう。
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たとえば、ある老舗機械メーカーはDXを見据えた新規事業開発において、Webやサーバー領域のIT人材不足と開発ノウハウの構築に課題を抱えていました。ITベンダーへの外注、SES企業の活用を試みるも根本的な解決に至らなかった同社ですが、経験豊富なフリーランスのPMを起用することで、開発組織立ち上げとプロジェクト推進を加速させることに成功。このようにITフリーランスが持つ豊富な経験と技術知見を活かし、企業のDX推進を導く事例も増えています。
また、同様の課題を抱えていた別のメーカーでは、開発組織づくりから関与することに対するハードルの高さ、複雑な技術を要する縫製機器の特殊性などが障壁となり、必要な人材の確保に苦戦。副業フリーランスを活用することで、テックリードの参画を実現しています。
フリーランスの持つ外部視点からの専門性と、企業内部に入り込んで主体的に課題解決に取り組む姿勢が強みとなり、開発組織の立ち上げからプロジェクトの推進に至るまで、取り組みを加速させることができました。このようにフリーランスPMは、その幅広い経験と技術知見に加え、社内のプロパー社員の育成、開発組織の構築といった面でも新たな視点をもたらし、革新を促す存在として注目されつつあります。
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DX推進における技術支援、「ITコンサル」の活用が加速
コンサルタントのフリーランス案件倍率は2.1倍となりました。特に「自動車メーカー向け人事管理のDX案件」「建築業界向けDX化支援案件」など、業界特有の知識やシステム要件定義から保守に至るまで、幅広い技術的理解を求められる案件が増加しています。
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「業界には精通している一方で、技術的な知識が不足している」といった非IT企業のDX推進担当者の悩みも多く、外部アドバイザーとしてITフリーランスを活用する動きも見受けられます。
たとえば、ある建設会社では、実践的なIT/DX推進経験を持つコンサルタントに“0.2人月”という少ない工数で参画してもらい、システムの要件定義やベンダーコントロールといった上流工程のサポートを受け、予算を抑えつつ必要な知見を得ています。このように少ない工数から始められるメリットも、フリーランスコンサルタントの需要拡大の要因となっているのではないでしょうか。
[3] レバテックフリーランスで発生した案件のうち、企業のDXに関連するものを抽出