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ペンから勉強データを取得する? 実は大人にも人気だったコクヨのこども向けIoT文具が進化して登場!

7割以上の大人が挫折を経験……孤独と闘うリスキリングを支える

 コクヨは1月29日、IoT文具「大人のやる気ペン」の販売開始を発表した。同製品は、コクヨが2019年7月に発売したこども向けIoT文具「しゅくだいやる気ペン」がベースとなっている。文具がデジタルと融合することで大人の勉強の仕方はどう変わるのか。同製品の発表会の様子と開発担当者へインタビューした模様をまとめてお届けする。

「ユーザーとつながり続ける」IoT文具の仕組み

 2024年1月29日、コクヨは大人向けのIoT文具「大人のやる気ペン」を新製品として発表した。市販のペンに取り付けて勉強を行うと、勉強に費やした時間をデータで記録して可視化し、学習の意欲向上につなげることを目指して作られた製品だ。

 同製品の前身は、コクヨが2019年7月に発売したこども向けIoT文具「しゅくだいやる気ペン」。発売以来、累計販売台数5万台を突破[1]しており、親子世代から多くの支持を得ている。大人のやる気ペンの基本的な仕組みも、このしゅくだいやる気ペンを踏襲している。

 しゅくだいやる気ペンは鉛筆に取り付けて使うアタッチメントで、加速度センサーが内蔵されており、このセンサーが鉛筆の動きを感知する。鉛筆が動いた時間に応じて、アタッチメントのLEDも10段階で色が変わることで、勉強に費やした時間が「やる気パワー」として可視化される仕組みだ。

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 同製品は専用のスマートフォン向けアプリとも連動しており、スマートフォンでアプリを立ち上げた状態でしゅくだいやる気ペンを近づけると、溜まった“やる気パワー”がアプリに転送される。それにより、アプリ内の「やる気の木」に実がなる仕掛けだ。こどもたちはこうして集めたやる気パワーを使ってアプリ内ですごろくのマスを進めたり、様々なご褒美アイテムを取得したりすることで、楽しみながら勉強を習慣化できる。

 「この製品の一番の特長はユーザーとつながり続けることができる点です。」こう話すのは、しゅくだいやる気ペンと大人のやる気ペンの開発に携わった中井信彦氏だ。文具などの通信を持たない製品はユーザーの手に渡った後、開発者が使用頻度などを知る術はほとんど残されていないが、IoT製品はユーザーの使用頻度や使用している時間をデータで日々見ることができる。「メーカーにとって非常に重要で有益な情報です」と中井氏は話す。

コクヨ株式会社 経営企画本部 イノベーションセンター IoT事業戦略ユニット やる気ペングループ長 中井信彦氏

 コクヨは、こうして蓄積された膨大なIoTデータをもとにユーザーの行動を分析。親子のコミュニケ―ションと家庭学習習慣化の関係を調査・分析したり、分析結果をもとにアプリのリニューアルを行ったりと、データドリブンなビジネスにつなげている。

こども向け製品を大人も活用? 見えてきた“自己学習の壁”

 そんなこども向けのしゅくだいやる気ペンを大人が活用しているとの情報を得たのはAmazonの口コミだったという。「かねてからSNSなどで大人のユーザーがいるらしいという情報は得ていたものの、実際本当に活用していただいているのか、我々のほうであまりイメージがもてませんでした。しかし、本当に大人にも使っていただいていることが徐々にわかってきました」と中井氏。実態を確認するべくユーザーに対してアンケート調査を実施したところ、やはり大人ユーザーは存在しており、そのうち約7割が資格試験の学習や自己学習など真剣に勉強に取り組みたいときにしゅくだいやる気ペンを使っていたことが明らかになった。

 なぜこども向けの製品を大人が使うのか。中井氏はその理由について、大人の自己学習におけるモチベーションの課題を挙げる。大人ユーザーの声を聞いてみると「日々何か成長していないと不安だから勉強しているが、こどものときのように先生や親が叱ってくれたり褒めてくれたりすることはない」「勉強を一緒に頑張る仲間もいない」といったように、孤独に勉強することによるモチベーション維持の難しさが浮き彫りになったという。

 実際、4人に1人の大人が直近1年で資格試験の勉強に取り組んだ経験があるものの、そのうち7割以上が勉強を途中で諦めてしまっていることがコクヨの調査で明らかになっている。同じ調査では、8割の人が勉強を行う際に紙に書くスタイルを取っていることに加え、勉強する中で感じている課題として最も多かった回答が「モチベーションの維持」であったことがわかった。こうした課題を乗り越えるツールとして、しゅくだいやる気ペンを使っている大人が一定数存在していることを中井氏は指摘する。

 「しゅくだいやる気ペンが、勉強から逃げたくなる自分を鼓舞してくれるツールになっているとの声をいただきました。勉強時間が可視化されることで達成感が生まれ、それによってモチベーション維持に成功している方が多くいたのです。日々の努力を積み重ねた先に自分の成長を実感できる未来が見えてくる。この毎日のちょっとした努力にずっと寄り添っていくことが我々のチームにはできるのではないかと考えました」(中井氏)

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この記事の著者

竹村 美沙希(編集部)(タケムラ ミサキ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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