2025年2月18日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWSジャパン)は、リテールテックにかかわる記者説明会を開催した。
![アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 エンタープライズ技術本部 流通小売・消費財グループ 本部長 五十嵐建平氏](http://ez-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/21459/21459_1200.jpg)
流通小売・消費財グループ 本部長 五十嵐建平氏
冒頭、Amazon.comの事業を支えるため、2006年からAmazon Web Services(AWS)としてITインフラをサービス化してきたと振り返ると、AWSジャパン 五十嵐氏は「企業のためのクラウドとしてスタートし、小売業界でもあらゆる箇所で利用されている」と述べる。主要コンビニ3社を支える基盤としてはもちろん、大手百貨店や飲料メーカーなど、有名企業から有力スタートアップまでの事業基盤を支えていると強調。まさにAWSは、“Born from Retail, Built for Retailers(小売業から生まれた、小売業のためのクラウド)”として、Amazon.comで検証されたクラウドサービスであるため、安心して活用できるとも話す。
また、同社における生成AIのテクノロジースタックを提示すると、「生成AIに投資をする場合、AWSのテクノロジーを用いて独自の基盤モデルを構築することができれば、ファインチューニングもできる。Amazon Bedrockなど、アプリケーション開発のためのツール、Amazon Qのような構築済みのアプリケーションまで提供している」と五十嵐氏。クラウドコンピューティングの先駆者として、同時にセキュリティも拡充してきたという。
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「クラウドと生成AIで購買体験が変化している。RFIDによってAmazon Goが実現し、スターバックスではモバイルオーダーが主力となってきた。アフターフォローを含め、購入前から購入後までのカスタマージャーニーを実現している」(五十嵐氏)
そして今、仮想空間における没入体験への投資を増やそうとする調査結果もあるとして、3Dウォークスルーの「Amazon Beyond」にも言及された。同社による調査では、2024年11月1日から12月28日にAmazon Virtual Holiday Shopにおいて1万2000時間以上の利用、95万のインプレッションを記録したという。また、Virtual Try-Allと呼ばれるサービスでは、家具の配置、洋服の試着などにおいて、画像内の特定部分だけを置き換えて確認することができるとした。「2Dだけでなく、3Dデバイスがあればより体験は変わってくる。たとえば、地方にある一点物の品物を、都内の百貨店に持ってこずとも販売することもできるだろう」と五十嵐氏。そこで説明会では、3Dホログラフィックデバイス「PROTO M」のデモンストレーションが行われた。
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今回はスモールサイズの筐体が用いられており、2D画像から生成された腕時計の3D画像を投影。どのような仕組みになっているのか、3D画像により詳細を確認可能だ。さらにAIアバターが映し出されると日本語だけでなく、中国語でも商品説明やレビューなどを読み上げた。こうした3D展示に特化した専用のデバイスを店舗に設置することで、たとえばインバウンド観光客への一助になると五十嵐は説明する。
なお、7年ぶりの出展となる「リテールテックJAPAN 2025」において、PROTO Mによる等身大のデモンストレーションを予定しているとのことだ。
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