
メルカリはMVNO事業に参入し、2025年3月4日より新たにモバイルサービス「メルカリモバイル」の提供を開始すると発表した。メルカリの執行役員でメルペイ代表取締役CEOを務める永沢岳志氏が会見を行った。国内初となるデータ通信量(ギガ)の個人間売買機能を提供するのが特徴だ。iOSユーザーを対象に段階的に提供を開始し、Android向けも順次展開していく予定である。

永沢氏はまず、日本のモバイル市場の現状について説明した。ドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアのシェアが減少傾向にある一方、サブブランドやMVNOのシェアが拡大している状況を示したうえで、「この傾向はまだまだ加速していくと考えており、今回の事業参入の一つの理由」と述べた。
しかし消費者調査によると、月々のデータ通信量が余っている層と足りない層の両方が存在し、「ギガが余っている」「やや余っている」と感じている消費者は合計で約65%に上る。さらに深掘りすると、ギガが余っている人のうち75%は「特に何もしていない」または「繰り越しているが結局使わずに余る」状態であり、ギガが足りない人のうち45.2%は「毎月追加でギガを購入している」という結果が出ている。
「使い方に合わせてプランをカスタマイズしたい」「使用量に応じて毎月通信プランを変更したい」というニーズも60~70%と高く、「余っているギガがもったいない」「ギガが足りない時の追加購入費が高い」と感じている消費者も多数存在する。
永沢氏は、旅行などの特別なイベント時にはデータ通信量が多く必要になる一方、通常時には使い切れずに余ってしまうという現象を例に挙げ、契約プランと実際の利用実態の間に乖離が生じていると指摘。こうした課題に対して、日本初となるギガの個人間売買機能を開発したという。
ギガの個人間売買とは、ギガが余っている人と足りない人をマッチングさせるというもの。出品されるギガの値段は1取引あたり200円からで、フリマアプリと同様にユーザー自身が価格を設定して売買できる仕組みだ。ギガは中身が同じため、通常のメルカリ取引にある評価やコメント機能は省略されている。
購入したギガは現在の契約データ量に即時追加され、すぐに使用可能になる。また、ギガを売った場合の売上金はメルカリの売上金として即時反映され、メルカリやメルペイでの買い物に利用できる。
永沢氏は「ギガが余る方は余ったギガを売り上げ金にすることで、メルカリやメルペイで買い物に使うことができる。欲しいものがあった時、これまではメルカリで売った売上金で買ったり、メルカリハロで働いて得たお金で買ったりということがあったが、今後は不要なギガを売って、支払うということも可能になる」と説明した。

ギガが足りないユーザーについては、出品されているギガを購入することでいつでも補充が可能。また、出品されているギガがない場合でもメルカリが公式ギガを販売するため、必要な時に必ず購入できる仕組みになっている。
料金プランは、月額990円(2GB/税込)と2,390円(20GB/税込)の2種類。ドコモ回線を利用し、初期段階ではeSIMでの提供となる。
永沢氏は今後のサービス拡充についても言及し、「物理SIMカードのリリース、データSIMの追加、au回線の追加、通話定額の導入など、他のサービスにあるようなサービス追加をどんどん進めていく」と述べた。支払い手段についても、当初はメルペイとメルカードのみだが、顧客ニーズに合わせて他の支払い手段も随時追加する予定だという。
またメルカリのサービスとしての強みを活かし、「メルカリやメルカードを使っていたら、モバイルがお得になる」といった他のメルカリサービスとの連携も検討している。