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欧州CRA入門! 製品セキュリティ対応をマスターしよう

CRA対応の「実務」を前進させる、組織整備の“5つの鍵”──現場のアクションプランに落とし込んで解説

第3回

 前回は、欧州サイバーレジリエンス法(CRA)対応で押さえておかねばならない2つのデッドライン「2026年:報告義務」と「2027年:適合義務」で必要となる実務タスクを解説しました。今回は、そうした対応実務を立ち往生させず、確実に前に進めるために有効な「組織体制」の整備について、必要な施策とその方法を現場のアクションプランに落とし込んで解説します。

CRAは「セキュリティ版 ISO 9001」である

 欧州サイバーレジリエンス法(CRA)への対応を迫られている日本の製造業の皆さまにとって、今の最大の悩みは「要求事項の多さとその抽象度」ではないでしょうか。「何をすればよいかは分かったが、どうすれば『合格』といえるのかが見えない」という声が、開発現場や品質保証部門から聞こえてきます。

 CRAの全体像を捉えるヒントは、実は皆さまが長年親しんできた「品質管理システム(ISO 9001)」にあります。

 CRAが求めるのは、いわば「製品セキュリティ品質」の保証です。設計から出荷、そして廃棄に至るまで、セキュリティを「特別な付け足し」ではなく「当たり前の品質」として管理する仕組みを求めているのです。まずは、製造者が負うべき義務の全体像を、実務者の視点で再整理してみましょう。次の表は、組織的対応と技術的対応の側面でCRAが求めるセキュリティ要件を、それぞれ製品の出荷前・出荷後のフェーズで整理したものになります。

表:CRAにおけるセキュリティ要件
区分 製品出荷前 製品出荷後
組織
  • 製品セキュリティ主管部門/責任者の特定
  • 製品セキュリティポリシーの策定
  • セキュア開発プロセス・ルールの策定、遵守状況の監視
  • リスクマネジメントプロセスの策定
  • 脆弱性情報の収集
  • 脆弱性情報開示方針の策定
  • 製品が遵守すべき法規制の調査
  • 製品サポート期限の定義
  • 従業員の教育
  • ユーザーへのセキュリティ情報提供
  • 製品サポート期限のユーザーへの明示
  • セキュア開発プロセス・ルール遵守状況の監視
  • 脆弱性情報の収集
  • 脆弱性報告窓口の設置・運用
  • 発見した脆弱性/インシデントのENISAへの通知
  • 発見した脆弱性/インシデントへの対応・情報開示
技術
  • 出荷前の脆弱性スキャン
  • セキュアバイデフォルトでの製品提供
  • セキュリティアップデートの自動適用機能の実装
  • 製品のID/アクセス管理
  • 製品・データのCIA保護
  • 脅威分析とハードニング
  • 3rdパーティ製コンポーネントのセキュリティ評価
  • SBOMの作成
  • セキュリティアップデートの安全な提供
  • オプトアウト機能の提供
  • 出荷後の製品の定期的なテスト・レビュー

 これらの膨大な要件を前に立ち往生しないために、本稿では実務を前進させるための「5つの鍵」を、現場のアクションプランに落とし込んで解説します。

次のページ
【1】対象製品の特定・適合性評価ルートの識別

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伊藤 公祐(イトウ コウスケ)

GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社 グローバル戦略本部 執行役員組込みセキュリティ、製品(IoT)セキュリティのガバナンスに2006年より従事。大手電子機器メーカーの製品セキュリティインシデント対応チーム(PSIRT)を立ち上げ、リーダーとして全社の製品セキュリティポリシーや製品セキュリ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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