ラクスは6月15日に記者発表会を開催し、今後のAI戦略と具体的な取り組みに加え、6月16日にリリースした「楽楽精算」のAIエージェント機能の詳細を発表した。
同 執行役員 楽楽クラウドバックオフィス事業統括本部払管理ソリューション本部 本部長 宮川拓也氏
冒頭、同社 本松慎一郎氏が登壇し、同社のAI戦略の核となる「協働型AI」の思想について説明した。本松氏は、AIのインターフェースが自然言語へと移行し、UIの概念が消失する「ヘッドレス化」の現状に触れつつ、業務系システムにおいては「人間向けのUIがなくなるわけではない」と断言。「AIが出力した結果が正しいかどうかを人間が確認し、誤りがあれば修正し、最終的な承認を行うためのインターフェースは今後も不可欠だ」との見解を示す。
また、企業ごとに異なる複雑な業務要件を実装してきたSaaSの優位性は、簡単にはコモディティ化されないと指摘する。課金モデルについても、一概に従来のアカウント課金が崩壊するわけではなく、プロダクトの特性や顧客の納得感に応じて、従量課金やハイブリッド型を柔軟に選択していくことが重要であると述べた。
同社の調査によると、バックオフィス業務を担う経理担当者の約8割は、AIの導入にあたって既存業務フローの大幅な再設計には踏み切れないという結果が出ている。
これに対して同社は、既存の業務フローを壊さず、ルールベースのクラウド機能にAIの推論能力を融合させるアプローチをとる。人間、ルール、AIが役割を分担する「協働型AI」を追求し、AIが間違えることを前提とした人間のチェックプロセスを組み込むことで、業務の信頼性を担保しつつ、最終的には指示・確認・承認以外の業務をシステムが担う「完全自動化」を2030年までに同社のプロダクトで目指す方針を掲げた。
続いて、同社 宮川拓也氏が登壇し、6月16日にリリースされた「伝票作成AIエージェント」の詳細について説明した。
伝票作成AIエージェントは、アップロードされた複数の領収書とクレジットカードの利用明細、さらには事前申請のデータがAIによって自動で紐づけられる。AIは裏側で過去の申請履歴や類似の取引データを基に推論を行い、負担部門やプロジェクト、適切なフリーテキストの備考欄までのワークフローを自動で生成するという。
宮川氏は、「2030年までにはこの前段の部分を自動化し、人間の手入力を限りなくゼロに近づける」と展望を述べる。利用開始直後のデータが少ない状態でも、LLMが参照しやすいプロンプト構成やテンプレートを用意することで、初期段階から一定の推論精度を享受できる工夫も施されているとした。
承認業務の自動化に向けては、エンタープライズ5社と協力して開発が進められている3つのAI機能が紹介された。
- 申請レビューAI:社内規定や独自の判定ルールを自然言語でAIに学習させ、申請内容をレビューさせるもの。従来のルールベースでは判定が難しかった「参加者全員がフルネームで記載されているか」といった文脈の推論が可能に
- 証憑・伝票照合AI:領収書画像と伝票の入力値(金額、日付、得意先など)を照合し、不一致を検知。これにより、申請者の手入力ミスやAIの読み取りエラーによる齟齬を見つけ出すダブルチェック体制が構築される
- 適格請求書チェックAI:インボイス制度に準拠しているかをチェックする
これら3つのAIが申請一覧を事前にスクリーニングし、問題がないものは緑、確認が必要なものは赤といった形で可視化するため、承認者はリスクのある箇所を集中して確認できるという。さらに、2026年8月にはWebサイトやメールから領収書を自動収集する「証憑取得AIエージェント」のリリースも予定されており、バックオフィス全体の自動化領域は継続的に拡張されるとしている。
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