デロイト トーマツ コンサルティングは、レガシーシステムのモダナイゼーションを独自のツールを用いて安全かつ効率よく実現するサービスを、2025年4月から本格展開すると発表した。
同ツールは、レガシーシステムのプログラム言語のCOBOLを最新のJavaに自動変換したうえで、当該システムを小さな独立したサービスの集合体に分割できる機能(マイクロサービス化)に特徴があるという。加えて、ITシステムを安全かつ効率よく刷新することにとどまらず、ビジネスプロセスの変革や新しいビジネスモデルの創出を支援するため、企業がデロイトトーマツの専門チームとのワークショップを通じて、このサービスを体感できる施設を、東京都千代田区に設けたとしている。
独自ツールの特徴
同サービスは、デロイト トーマツが加盟するグローバルネットワークのデロイトが米国で特許をもつ独自のツール「innoWake」を使用。次のような特徴をもち、安全かつ確実で効率の良い近代化を実現するという。
- 自動コード変換:メインフレームで稼働しているCOBOLを1行単位で、最新のJavaなどのオープン言語に1対1で自動変換。ソースコードの構造変更を極力少なくすることで、不良の発生リスクを抑え、低リスクと時間短縮を両立
- 自動移行:メインフレーム上のデータベースを、オンプレミスまたはクラウド上の表形式のデータベースに自動移行
- DBカッターとモノリスカッター:レガシーシステム脱却では従来、クラウド移行して言語をJavaへ単純変換するのみにとどまることが一般的だが、innoWakeではJava変換後、塊になっている業務処理のプログラムやデータベースを、独立したプログラムやコンポーネントに機械的に分解する、マイクロサービス化が可能
- 生成AI機能:レガシーシステムの分析のために、平易な質問文で該当箇所の検索をしたり、処理内容を回答したりする。プログラムやコンポーネントのソースコードに設計書がない場合に設計書を自動生成。アセンブラプログラムをJavaに再実装する際には、要件定義と要求機能を導出して自動でコードを生成
innoWakeによるモダナイゼーションの進め方
COBOLのロジックや、金融や保険など各業界特有のITシステム近代化のトレンド、ビジネスプロセス改善など専門的な知見に精通したメンバーで、プロジェクトごとに専門チームを組み、各企業とともに次のフローで進めるという。
- メインフレームのソースコード処理を独自ツールで分析し、モジュール間の依存関係を可視化。これをもとに、COBOLおよび業界の知見に精通した専門家が、企業側の開発ガイドラインにあわせてシステム上の意味や重要性、難易度を判断して優先度をつけてマッピングし、企業側とともに計画の範囲やゴールを決定するとしている
- マッピングをもとに、独自ツールを使いCOBOLのコードをJavaに自動変換。人手による作業は、バッチ処理などで性能のチューニングが必要な場合や、複数の異なるデータ形式の統合が必要な場合などに数を減らして、開発リスクを最小限に抑えるという
- プログラムの機能分割やデータベースの分割箇所を、専門チームのメンバーが過去の経験や知見に基づいて決定し、独自ツールのモノリスカッターやDBカッターで分割してマイクロサービス化。分割後の各コンポーネントに対しては、生成AIで要件定義の書き起こしからコード生成、ドキュメント生成を実行するとしている
![[画像クリックで拡大]](http://ez-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/21610/1.png)
【関連記事】
・Salesforce、AIエージェントを業務フローに導入できる「Agentforce 2dx」発表
・インテルがAI PCポートフォリオ拡充、オンプレミスサーバーなしで社内PC資産のリモート管理を簡素化
・KDDI、早稲田大学ら5者、AI・量子コンピューター事業化に向け協業 物流経路や製造業で活用へ