
第15回、第18回で解説した通り、HeatWave GenAIを使用するとSQLだけでLLMを活用できます。更にHeatWave GenAIでは、オブジェクトストレージ上のドキュメントをSQLだけでエンベディングして(データの意味を考慮してベクトル化して)ベクトルストアに格納し、SQLだけでRAG(Retrieval Augmented Generation)を実現することもできます。今回はこの手法について解説します。
HeatWave GenAIでRAG(Retrieval Augmented Generation)を実現できる利点
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LLMを活用する時に回答の信頼性を向上するための手法の一つとしてRAG(Retrieval Augmented Generation、検索拡張生成)があります。RAGではLLMに問い合わせて回答を得る時に外部のデータベースを参照し、質問と関連する情報をLLMに入力することで情報を補完することができます。そうすることで、LLMが持っていない情報についても回答が得られたり、ハルシネーション[※1]を軽減できたりします。
RAGを実現するための外部データベースとしては、ベクトルストアが使われることが一般的です。そしてLLMとベクトルストアを組み合わせてRAGを実現するために、LangChainなどのオーケストレーション・フレームワークが使われることも多いです。つまり、RAGを実現するためにはLLMを活用するスキルに加えて、ベクトルストアやPython[※2]に関するスキルなども求められるのが一般的です。
しかし、HeatWave GenAIを使うとRAGもSQLだけで実現できます。そのため、特別なスキルを必要とせず、データベースだけで手軽にRAGも使ってLLMを活用できます。
[※1] LLMが事実とは異なる内容や無関係な文脈の内容を出力する問題
[※2] LangChainについてはPythonベースだけでなくJavaScriptベースのライブラリも提供されています。とはいえ、本稿執筆時点でLLMを活用するための言語のデファクトスタンダードはPythonではないかと筆者は考えています。
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- この記事の著者
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山﨑 由章(ヤマサキ ヨシアキ)
日本オラクル株式会社 MySQL Global Business Unit MySQL Master Principal Solution Engineer & MySQL Cloud Evangelist MySQLとHeatWaveの普及を主なミッションとし、お客様環境への導入支援や製品...
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