AIインフラの鍵となる「大規模クラスター」の成功に欠かせないGPU・CPU・ネットワークの要件とは?
Dell・AMD・IBM・Tensorwaveが「ADVANCING AI 2025」で対談
優れたネットワークは大規模AIクラスターの成功に不可欠
マタス氏(モデレーター):AMDは、GPU、CPU、ネットワーキング、RoCM(AMDが開発したオープンソースのGPUコンピューティングプラットフォーム)ソフトウェアスタック、RoCEレイヤーなど、システムソリューションを構成するすべての技術要素を提供しています。
フランシス・マタス(Francis Matus)氏
ジュブラン氏(IBM):まず、「いかに最適なネットワークアーキテクチャを構築するか」に焦点を当てている点に感銘を受けました。ネットワークが最も重要な要素であることは我々も確認しており、訓練と推論をサポートする適切なGPU、そして進化するソフトウェアスタックを手に入れることが、成功の方程式ともいえるでしょう。AMDの積極的なロードマップにも好印象です。毎年新しいGPUを投入するアプローチや、ソフトウェアスタックの改善も印象的でした。
ホートン氏(Tensorwave):垂直統合によって実現できる最適化は、下流プロバイダーである我々にとって非常に有用です。ネットワークが改善されるだけでなく、垂直統合により我々と顧客の双方にとって、運用が簡素化されるでしょう。TensorwaveはAlara(AMDが開発したAI向けインフラのネットワーク最適化技術)の導入を楽しみにしており、今後のAMD製品にも期待しているところです。
シヴァ氏(AMD):CPUとサーバーについてもお伝えしたいです。AIシステムでは、GPU以外にも様々な管理サービスを実行する汎用サーバーが必要となりますが、ここでCPUの性能が大きく影響することがわかりました。
たとえば、複数の専門AIモデルを組み合わせた高度なシステムでは、「どのモデルにどのデータを送るか」といった処理振り分けが重要となります。これらの処理はすべてCPUが担当するため、CPUの性能によってシステム全体の効率が左右されるのです。GPUだけでなく、CPUも含めて統合最適化できることが、AMDソリューションの大きな価値となっています。
タラジ氏(Dell):AMDはネットワーキング分野で多くの優れた成果を上げています。たとえば、大容量データ保存システムでAMDのCPU技術を活用した結果、1台のサーバーで3ペタバイトの保存と、毎秒384ギガバイトの超高速データ転送を実現できました。これにより、従来必要だった中継装置も省略が可能となり、コスト削減を達成しました。
また、AMDのPollaraアダプタを使用したネットワーキング技術でUltraEthernetをテストした結果、標準Ethernetと比較して20%の性能向上を確認しています。これは決して無視できない数字です。業界全体がより高速なネットワークを求める今、AMDの今後の製品イノベーションに期待しています。
マタス氏(モデレーター):最後に主催者であるAMDから、本日のADVANCING AIでの発表と、ここでの議論についてコメントをお願いします。
シヴァ氏(AMD):AMDは引き続き「エンタープライズAI」を重視していきます。本日のADVANCING AIで発表したスタックには、管理層からモデル推論層、RoCEクラスター管理、ネットワーキングまで、すべての構成要素が含まれており、CPUやInstinct GPUを一貫性のある、統合された環境で活用できます。
我々の使命は、すべてを使いやすくし、パッケージ化されたマイクロサービスとして提供すること。そして、Red Hatなど業界リーダーとのパートナーシップを通じて機能することです。お客様にはオープンエコシステムと選択肢を提供し、それぞれにとって最適な価値と性能を実現します。
マタス氏(モデレーター):優れたネットワークは、大規模AIクラスターの成功に不可欠です。パートナーの皆さんと緊密に連携して、AMDは優れた堅牢性を備えるソリューションを継続的に開発してまいります。お集まりいただいた皆さん、本日はありがとうございました。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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