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サイバー攻撃、選挙介入……廣瀬陽子氏が語る、ウクライナ戦争におけるハイブリッド戦争の新たな展開

「サイバー防衛シンポジウム熱海 2025」レポート Vol.1

SSD創設でサイバー攻撃が激化、物理&サイバーの連携も可能に

 ウクライナ戦争の開始後に激しさを増した攻撃の背後には、ロシアにおけるSSD(特別任務部)の創設がある。この中心となっているのは、GRU(ロシア連邦軍 参謀本部情報総局)、そしてKGBの後継であるFSB(ロシア連邦保安庁)とSVR(ロシア対外情報庁)、さらにはロシア国防省配下の秘密機関GUGI(深海研究総局)などといった組織だ。GUGIは深海領域に特化した組織であり、海底ケーブルの切断に関わっていると見られる。

 SSDの注目すべき点は、ロシアの諜報機関が協力体制を敷いたことだ。GRUとFSBは犬猿の仲とされ、これまで協力することはなかった。これらの組織がSSDとして連携することで、より強力な破壊活動が繰り広げられている。

 SSDは、主に海外における暗殺・破壊活動、欧米の企業や大学への潜入、海外エージェントの募集・訓練などを通じて、欧米の混乱とNATOおよびウクライナ支援の弱体化を目指している。サイバー攻撃も行っており、2016年の米国大統領選挙に介入したとされるGRUの第26165部隊(通称:Fancy Bear)、第74455部隊(通称:Sandworm)などを配下に持つ。

 講演後の質疑応答の中で、廣瀬氏がウクライナ関係者の話として明らかにしたところによれば、SSD創設後、ウクライナに対するサイバー攻撃は激しさを増しているという。ロシアによるサイバー攻撃自体は以前からあったが、侵攻当初はミサイルなどによる軍の物理的攻撃とサイバー攻撃の連携は確認されていなかった。しかし、現在はサイバー攻撃によってインフラ施設などの機能をダウンさせ、その後にミサイル攻撃を行ってより甚大な被害を与えるといった手法が可能となってきている。

 「今や、サイバー攻撃も人命を危険にさらすハイブリッド戦争の一部です。この戦争は日本とも無縁ではありません。今まさにハイブリッド戦争が起こっていることを、より多くの国民に認識していただかなくてはなりません」(廣瀬氏)

海底ケーブル切断では中国と連携、台湾沖でも

 海底ケーブルの切断やパイプライン破壊では、前出のGUGIが深く関与しているが、興味深いのは中国と連携している点だ。GUGIが海底ケーブルの設置場所を特定すると、そこに中国の漁船などがやってきて錨を降ろして引きずり、海底ケーブルを切断しているのだという。

 「こうした中露の連携は、極東でも確認されています。台湾の海底ケーブルが切断された際、近くにロシアの船がいるといったことがありました。二国の機関が連携することで、誰がやったのかをわかりづらくしているわけです」(廣瀬氏)

トランプ政権のUSAID停止でモルドバの民主化に暗雲

 また、選挙介入ではオーバーロード作戦を駆使するほか、実力行使も行っている。たとえば、昨年から今年にかけてロシアが選挙介入したと見られるのが、フランス、ドイツ、米国、ルーマニア、モルドバなどだ(2025年6月21日時点)。

 欧米諸国では介入の影響はほとんどなかったとされるが、ルーマニアとモルドバでは大きな影響が出た。ルーマニアでは、大統領選挙で最多の得票数を得た候補者にロシアの介入が指摘され、選挙をやり直す事態となった。最終的には親EU派の候補が勝利したが、政府への国民の信頼を揺るがせたことはロシアにとって大きな戦果といえる。

 より危機的な状況にあるのはモルドバだ。同国では、ロシアによる投票者の買収が横行しており、約13万8000人のモルドバ国民が買収されたといわれている。モルドバはルーマニアとウクライナの間に位置し、ウクライナとの国境沿いにロシアの支援を受ける未承認国家である沿ドニエストルを抱える。

 「ロシアは、モルドバ南部のガガウズ自治区でも買収工作を進め、貧しい人々にお金を配っています。これらの人々は、政府が親ロシアになればもっとお金がもらえると考え、親ロシア議員に投票してしまうのです」(廣瀬氏)

 事態をさらに深刻にしているのが、米国トランプ政権によるUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)の活動停止である。モルドバではNGO(非政府団体)が民主化の支援を行っているが、その多くがUSAIDに活動資金を頼っていた。その資金が絶たれたことでモルドバの民主化が揺らいでおり、その影響はウクライナ戦争にも及ぶと予想される。

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ウクライナ戦争の終わらせ方が世界の未来を決める

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この記事の著者

名須川 竜太(ナスカワ リュウタ)

編集者・ライター
編集プロダクションを経て、1997年にIDGジャパン入社。Java開発専門誌「月刊JavaWorld」の編集長を務めた後、2005年に「ITアーキテクト」を創刊。システム開発の上流工程やアーキテクチャ設計を担う技術者への情報提供に努める。2009年に「CIO Magazine」編集長に就...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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