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“レジェンドCIO”5人衆と旅先で考える「これからの情シス」──2030年までに解決しておきたい課題

#6:CIO旅 in 沖縄

答えは、会社を飛び出した先にある

──ITのプロフェッショナルとして、新しいテクノロジーやその活用について情報収集することも大事だと思います。皆さんは、事例がない領域にも果敢に挑戦され、道を切り開いてきました。社内に答えがないとき、どうやって乗り越えてきたんですか?

林直孝:会社を飛び出すしかないですよ。2012年頃、パルコの経営企画室に居たときに当時の社長から「潮目が変わっている。若手で新しいマーケティングを考えてくれ」と特命が下りました。当時はオムニチャネルという言葉がバズワードになっていました。でも、社内に詳しい人は一人もいない。セミナーやカンファレンスで講師と名刺交換し、直接話を聞きに行きました。そして2014年、ニューヨークで開催された全米小売業協会(NRF)のカンファレンスで、長谷川さんと出会ったんですよね。

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株式会社大丸松坂屋百貨店 常務執行役員 デジタル戦略推進室長兼 DX推進部長 林直孝氏

長谷川:あの頃は、みんな手探りでしたね。

林:そう。情報がないから、みんなで知見やノウハウを持ち寄って、コミュニティのような関係性がゆるく醸成されていきました。あれから11年。ともに悩み抜いた仲間たちは組織を率いる立場になっていて、今でも情報交換しますし、すごく仲良しです。

喜多羅滋夫:コミュニティは利害関係がないから本質的な話ができるし、同志になれますよね。社内で孤独を感じている情シスこそ、外に出てみよう。

──そんな皆さんが「この人はすごい」と尊敬してやまないCIOやリーダーは誰ですか?

喜多羅:元全日空の幸重孝典さんです。事業メリットを的確に押さえることに長けています。そして、自分の部下のことを「仲間」と呼ぶんです。素敵な人だなと。

友岡:私は、ファーストリテイリング時代に上司だった堂前宣夫さんです。堂前さんは、細かいところまで全部覚えている。常に正確で解像度の高い報告を求められ、自分の解像度がどれだけ粗いか思い知らされました。うまくいってない組織って、だいたい事実を掴む力が弱いんですよね。堂前さんのもとでファクトを掴む力を徹底的に問われたのは、非常に良い経験になりました。

長谷川:私は、日清食品ホールディングス CIOの成田敏博さん。メルカリ時代に一緒に働きました。成田さんが素晴らしいのは、新しいことを始めるときの各部門とのコミュニケーション。何かが変わるって普通は嫌じゃないですか。反対されて当たり前。でも成田さんがいると、プロジェクトが始まる頃には、向こうがやる気になってるんですよ。

 私だったら、ミーティングで「それは違うだろう」と言われたら、「はぁ?」って感情が顔に出ちゃう。向こうも「はぁ?」となって対立する。成田さんは違うんです。同じように反対されても「いや、本当にそうですよね」と必ず一度受け止める。相手を立てて引く。でも最終的には自分の狙い通りに進めている。天才ですよ。

虻川:スギ薬局 DX戦略本部長 CDOの各務茂雄さんです。何かを通すときは入念に準備して、NOと言われないようにするのが非常にうまいそうなんです。講演を聴いたことがあるのですが、あらゆる質問に対して回答が的確でした。

林:エイチ・ツー・オー リテイリング IT・デジタル推進グループ長の小山徹さんです。小山さんは、発言がすべて業界規模なんです。自社だけでなく「百貨店業界を変えてやる」という熱量で仕事しているように見えます。これ、すごく大事なことです。だって、もうそこで争っている場合じゃありませんから。

 もちろん、顧客向けサービスの差別化は、各々やる必要がある。でも基幹システム、POSなどの非競争領域は、別に一緒でもいいんじゃないのと。おそらく各社の情シスの中には、そう思っている人もいるんです。でも、それを声に出して実践している人はあまりいない。小山さんのそういう志に惹かれます。

友岡:5人に共通しているのは、人間力ですね。決して技術力だけじゃない。

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基幹システム、データ、AI活用……2030年に残したくない課題とは?

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酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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