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H2O・フジテック・ヤンマーのCIO/CDOが指南──生成AIが普及する組織、“しない組織”の分岐点

「SORACOM Discovery 2025」:特別講演レポート

コロナが変えた「デジタル化の意味」──プラスからマイナス回避へ

 デジタル技術の導入・浸透は大手企業にとって大きなチャレンジである。しかし、コロナ禍による働き方の変化が、IoT活用などのデジタル化に対する認識を変える転換点となったことが3社で共有された。

 友岡氏は海外展開での経験を振り返り、「シンガポールのような小さな国では現場にすぐ行けるため、『IoTはいらない』という冷淡な意見が多かった。状況が劇的に変化したのはコロナ禍。ロックダウンにより、現地への移動が不可能になったためだ」と語る。

 パンデミックによる変化は、デジタル化の意味を根本的に変えたと友岡氏は分析した。

 「当初は、デジタル化によるメリットが注目されていた。しかし、社会環境の変化により、今やデジタル化を怠ることは『ディスアドバンテージ』につながる」(友岡氏)

フジテック株式会社 専務執行役員 デジタルイノベーション本部長 友岡賢二氏
フジテック株式会社 専務執行役員 デジタルイノベーション本部長 友岡賢二氏

 また、人件費の高騰も背景にある。「人手に依存するような業務のコストが大幅に上昇している。インフレ率の高い国では年に数パーセントも人件費が増加するため、IoTなどの技術を活用したサービス設計でなければ競争力を保てない」と友岡氏は続けた。

 こうした変化は製造業だけでなく、小売業でも顕著だ。小山氏は、百貨店とスーパーマーケットの事例を通じ、「パート社員の高齢化により、レジ業務は可能でも品出しなどの身体的負担の大きい業務が困難になるケースが増えている。加えて、パート従業員の人件費負担も無視できない水準に達している」と話す。そうした直面する現実に対し、カメラとAIを活用した店舗運営改善に取り組んでいるという。

生成AI普及の鍵──将来への期待、トップによる率先的活用、コミュニティ参加

 話題は生成AIの活用に及ぶと、3名は成功と失敗を分ける要因を浮き彫りにしていく。

 エイチ・ツー・オー リテイリングでは、全従業員向けのプラットフォーム整備から始めたが、使用状況の二極化が課題となった。「1時間に何十回も生成AIを使用する従業員と、まったく使わない従業員に二極化している」と小山氏。そこで同社では独自のアプローチを採用した。

 それが、ビジネス文書の作成支援など、状況に応じた80ケースのプロンプトを事前に用意したシステムで社員へ提供する方法だ。社員は生成AIを使っていることを意識せず、“自然に調べていく”形で利用できるように工夫することで利用を促す。

 一方、ヤンマーホールディングスの奥山氏は、事業部による成果の違いを指摘する。

 「期待値の調整が重要だと考えている。『魔法のようなことが自部門でもできる』と過度に期待するとデータの精度が十分でないため、思うような結果が得られないと『人のほうが効率的だ』として断念してしまう。そうした事業部は進展しない」(奥山氏)

ヤンマーホールディングス株式会社 取締役 CDO 奥山博史氏
ヤンマーホールディングス株式会社 取締役 CDO 奥山博史氏

 一方、成功する部署の特徴について奥山氏は、「最初は精度が低くとも、使い続けることで改善が進む。1~2ヵ月という長期的視点で改善を続け、実用的なレベルに達するまで継続できる事業部が成果を上げている」と分析した。現在の完成度だけでなく、将来の可能性を見据えた取り組みが重要だ。

 また、生成AIの登場がIoTにもたらした変化について、友岡氏は過去の状況を振り返り「IoTが利用されはじめた当初、『早くデータをためないと負けますよ』『IoTは3年分データをためないと使い物にならないから、早く始めないと』と言われていた」と述べる。しかし、生成AIの登場により状況は一変。「教師データを作るために莫大なデータが必要だったが、それが不要になった。これが最大のメリットであり、今から始めてもトップランナーになれる」と強調した。

 そして生成AIの普及には、トップによる積極的な活用がポイントとなる。

 エイチ・ツー・オー リテイリングでは社長自らがChatGPTを利用しており、役員会議でAIとの対話結果を基に議論する状況も生まれている。この変化について小山氏は「AIと対話しているトップから『答えが違うのではないか』と問われると、役員や部長は同じように生成AIを使わざるを得ない状況になる」と述べる。

 経営陣は決して能力が低いわけではないが、自分で体験しなければ理解できない。上層部が活用すれば、部下も使わざるを得ない状況が生まれる。そうした動きが組織に新しい技術を浸透させていく。

 フジテックの友岡氏も普及の困難さについて、「ガラケーからスマートフォンに移行したとき、最初は抵抗していた人も最終的に転換できた。しかし、生成AIについては放置したままでは普及しないだろう」と指摘する。

 この課題について「大手企業においては、プロモーション活動が極めて重要だ。イノベーションとは『創新普及』であり、新しいものを作ること、普及させることの両方が必要で、普及して初めてイノベーションが完了する」と友岡氏。その上で、普及を促進する具体的な手法として「ソラコムやクラウドベンダーにはコミュニティがある。そうしたコミュニティで学ぶというアプローチは大手企業でも比較的うまくいくのではないか」として、外部コミュニティでの学習機会の活用を提案する。

次のページ
「匠の技」をAIが学ぶ時代 暗黙知のデジタル化と技術投資

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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