関西の女性ITリーダー40名が集う──紆余曲折を糧にしてきた、りそなデジタル・アイ島田社長のキャリア道
番外編:「Enterprise IT Women's Forum 2025 KANSAI」開催レポート
参加者からの質問:「手間抜き」と「欲張り」を勧める
参加者から島田氏に多くの質問が寄せられた。その一部を紹介する。
──人材採用について、学生から選ばれるコツは?
島田:当社は文系・理系問わず採用していますので、研修はしっかり組み立てています。4月から5ヵ月間、チームに入らず研修に専念してもらうのですが、そういった手厚さをアピールしています。
また、会社説明会では学生の皆さんが身近に感じてもらえるように、アプリのことを中心にお話しします。今の学生にとって銀行は、支店や窓口ではなく、スマホの中にあるものなんです。
酒井:すごい時代になりましたね。
島田:本当に。だからこそ分かりやすさを重視して、学生の皆さんの感覚に合わせた説明を心がけています。

──社長と家庭の両立はどうされていますか?
島田:今は大阪で単身赴任ですが、東京に帰ると食事はほぼ主人に作ってもらっています。あとは「手抜き」ではなく「手間抜き」と言うんですけれども、使えるものは何でも使う。食材の配達も選択肢がかなり増えてきましたし、きちんと料理してあるものが冷凍されていて美味しいですよ。
酒井:ちなみに私はガスの元栓を閉めたまま、電子レンジ一本で過ごしています。
島田:私も電子レンジフル活用です。完璧じゃなくていいんです。親御さんが家のことをきちんとされていたりすると、「自分もそうしなきゃ」と思ってしまうかもしれませんが、時間は限られています。手間を抜けるところは抜いてみてください。
──キャリアについて若手にどのようなアドバイスをしていますか?
島田:「欲張りなさい」です。「やりたいことはあるけれど、どれも中途半端になるのが嫌なんです」という悩みもよく聞きます。でも、まずは全部やってみることだと思うんです。やってみて初めて分かることがありますから。うまくいかなかったら比重を変えてみる。仮にキャリアと家庭で悩んだとしたら、何とかして両方手に入れる道を探ってほしいですね。
女性リーダー6名による、情シス現場が抱える課題と乗り越え方
基調講演のあとは、情報システム領域で活躍する女性リーダー6名によるLT。10分ずつという限られた時間ながら、現在進行中の取り組みや奮闘ぶりがシェアされた。
HENNGE:「変わりたい情シス」と「変えたくない現場」に寄り添う導入支援
クラウドセキュリティサービス「HENNGE One」の導入支援を統括する大月香穂氏は、SaaS製品導入で頻発する課題として、情シスと現場の価値観の差を挙げた。

たとえば、脱PPAP対策製品「HENNGE Secure Download」の導入現場。情シスが「セキュリティを徹底したい」一方で、現場からは「運用を変えたくない」「取引先に迷惑をかけたくない」といった声が上がるという。こうしたギャップは事前の課題管理表に載ることが少なく、後にスケジュールの遅延を招く。
この課題に、大月氏らは2つのアプローチを実践している。1つ目は、情シス部門への現実的な落としどころの提案。過去に一気に運用を変えた顧客が、社内から猛反発を受けて設定を元に戻すことになったケースを踏まえ、日本企業特有の現場の声が強いことを考慮した進め方を提案している。
2つ目は、現場のユーザー向けコンテンツの整備だ。従来は情報システム部門向けの資料作成が中心だったが、「ユーザーマニュアルの整備が大変」という声を受け、現在はユーザー向けの分かりやすいコンテンツ作成にも力を入れている。「現場の生の声を生かし、より効果的な導入支援を目指している」と大月氏は語った。
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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:HENNGE株式会社
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