ポジションの変化は日本市場での「ぶっちぎりNo.1」に向けた重要な一歩
単なるストレージではなく、AIの活用・実装で求められる価値と機能を備えたデータプラットフォームを提供するというNetAppの新たな方針を、日本市場ではどのように浸透させていくのか。INSIGHT 2025の会場では、今年6月にNetApp日本法人社長に就任した斉藤千春氏も取材に応じ、「AIの活用では、(NetAppが)技術的なお手伝いをするだけでなく、ユーザーのビジネスをどう大きくしていくかまで含めて、パートナーと一緒に伴走する必要がある」と述べた。AIDEやAFXの当面のターゲットは、大規模なAIアプリケーションを実際のビジネスの現場で活用していく計画がある、ハイエンドのユーザーだ。この領域で、NetApp製品を採用してビジネス上の成果を創出する成功事例を増やすことで、データインフラベンダーとしての認知度向上につなげていく。
 
NetAppが提供する製品やサービスはストレージレイヤーに限られるため、具体的な取り組みとしてはパートナーエコシステムの強化がポイントになる。従来、日本市場では特にディストリビューターやリセラーとの関係づくりを重視してきた印象が強いが、斉藤氏は「従来のパートナーエコシステムを拡大し、インフラ全般からアプリケーションまで含めて、ガバナンスの効いたトータルソリューションを構築できるコラボレーションの体制をつくっていく必要がある」との認識を示した。コンサルやSI分野を対象に、既存パートナーとの連携強化や、クラウドインテグレーターなどの新たなパートナー開拓に注力する。
さらにはAWSやMicrosoft、Google Cloudに加えてNVIDIAなど、グローバルでアライアンスを組む大手ベンダーとも、日本市場独自の協業の枠組みを模索するという。チャネルパートナーやSIパートナー、顧客開拓の取り組みでも連携を強化したい考えだ。
NetAppは現在、国内オープンネットワークストレージ市場でシェア1位だが、2位とは僅差だ。斉藤氏は9月30日に開いた日本法人の事業戦略発表会で、3年後に「ぶっちぎりナンバーワンになる」と宣言している。INSIGHT 2025の新発表を受け、「局所的には競合関係が拡大する部分があったとしても、コラボレーションできるレイヤーが広がり、NetAppのビジネスの可能性は大きく広がった。結果的に市場でのポジションも変化し、ぶっちぎりナンバーワンになるための重要な一手になる」との見方も示した。
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- この記事の著者
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                    本多 和幸(ホンダ カズユキ) 山形県酒田市出身。2003年、早稲田大学第一文学部を卒業し水インフラの専門紙を発行する水道産業新聞社に入社。関連省庁担当記者や企業ニュース面キャップなどを経験。2013年に株式会社BCN入社。「週刊BCN」の記者として法人向けITビジネス領域の取材に従事。国内外の大手ベンダーから有力スタートアップま... ※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です 
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