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2025年夏号(EnterpriseZine Press 2025 Summer)特集「“老舗”の中小企業がDX推進できたワケ──有識者・実践者から学ぶトップリーダーの覚悟」

金融業界のDX・IT民主化を「コミュニティ」の力で前へ!

住友生命保険・岸和良氏と語る「金融DX」の現在地、業界特有ピラミッド型組織も「越境」の力で乗り越えろ

【前編】

ピラミッド型組織におけるDXのジレンマ

──「金融機関特有の組織構造が、新しい取り組みを難しくしている」という話があり、それを打開するキーワードとして「越境」という言葉が出ましたね。どう実現すればよいのでしょうか。

岸氏:理想的なアプローチは、「経営陣がサイロ化した組織では新しいものが生まれづらい」と認識し、横串を刺す組織を作っていくことです。そのうえで横に越境させて、いくつか試してみて、上手くいったものだけを縦組織に還元していけばよいと思います。

 ただし、完全に出島のような組織にすると交流が起こらなくなるため、元の組織に新しい取り組みの成果が還元されにくくなってしまいます。

──難しいですね。出島組織や横串組織というのは、新規事業開発をはじめイノベーションの文脈でよく出てくる話ですが、そこで何か新しいことをやっても、既存組織へ還元できないことが十分に考えられるということですよね。

岸氏:そこで私がオススメするのは、既存の組織や考え方を意識した強い人間を越境させることです。実際、新しい考えを持った人や外部から来た人ばかりで出島組織を作っても、上手くいかなかったという歴史があります。

山口氏:岸さんがおっしゃったような課題に挑戦しているのが金融IT協会だといえるでしょう。「組織の枠を超えたコミュニティ」として、超えてきた者同士で情報を共有し合って、自分たちの組織(≒既存組織)に持ち帰って欲しいという想いを込めて活動しています。

 また、金融業界の方であればどなたでも無料で参加できる仕組みにしているため、サイロ化に悩む組織でも「無料ならいいか」とまずはお気軽に加盟して、「少し見てこよう」という感じでお越しいただければと。そこで共有された知見を持ち帰って、「これは効果があったらしい」「しかもコストはかからない」といったような話をそれぞれの組織で展開していただくことで、ピラミッド型組織だとしてもイノベーションへの意欲に少しでもプラスになればと考えて運営しています。

岡田氏:越境は重要です。地域の金融機関が大手に出向して何かを持ち帰るケースは多いですが、「出向」というのは工数や調整、リソースも必要ですし、ハードルが高いです。であれば出向の手前として、コミュニティの活動に参加するという形で組織を変えていくのが効率的かつお手軽ではないかと。大手金融機関の方からしても、競合が何をやっているのか情報交換したり、ベンダーの方と技術的な問題を本音で話したりする場としてもご活用いただけます。

後編へ続く:IT部門も「傍流」の意識を捨てるべき?/AIの普及で「中央集権型組織」が変わりつつある?

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/23037 2026/01/26 09:00

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