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タニウムが発表した「自律型IT」と「止めないビジネス」のビジョン:McDonald's、ServiceNow、Best Buyなどが賛同

Tanium 「Converge 2025」現地レポート #01

定性的な成果:組織文化の変革

(左より)タニウム CEO ダン・ストリートマン(Dan Streetman)氏/Best Buy CISO アダム・ミッシェラー(Adam Mishler)氏/McDonald's デイブ・トマス(Dane Thomas)氏

 Best BuyのCISOアダム・ミッシェラー(Adam Mishler)氏は、セキュリティ部門の役割定義が変化したことを最大の成果として挙げる。かつては「NO(拒否)の部門」と見なされていたが、タニウムによるリアルタイム可視化と制御により「KNOW(把握)の部門」へ進化したという。

 「セキュリティをガバナンス(統制)からイネーブラー(実現機能)へ捉え直しました。ビジネスチームのAIなど新しい挑戦の際、私たちが安全なガードレールとなることで、スピードを維持しつつ安心して取り組めます」

 McDonald'sのデイブ・トマス(Dane Thomas)氏も「一貫性」こそが効果だと強調。100ヵ国以上・4万3000店舗を展開する同社にとって、店舗システムの安定稼働は「ビッグマックの味が世界中同じであること」と同様に重要だ。24時間365日営業でメンテナンス停止が難しい環境下、タニウムによる自律的パッチ適用と監視は、ビジネスを止めないための生命線となっている。

登壇企業のリーダーが語るリアルタイムデータの価値

 今回の一連のセッションから得られる最も重要なインサイトは、AI時代のIT戦略において「正確なリアルタイムデータ」がすべての基点になるという事実だ。

 ServiceNowのサンカ氏は、「Start Now(今すぐ始めろ)」と聴衆に訴えかけた。「世界はあまりに速く動いており、基礎となるデータとプラットフォームを整えずにAIを導入しようとしても失敗する」という警告である。AIに自律的な判断をさせるためには、その判断材料となるデータが「今現在」のものであり、かつ「正確」でなければならない。タニウムのLinear Chain技術が提供するリアルタイム性は、まさにこのAIの前提条件を満たすものである。

 また、セキュリティとIT運用の境界線が消滅しつつあることも見逃せない。Best BuyやSailPointの事例が示すように、セキュリティ担当役員(CISO)がIT運用の効率化にコミットし、逆にIT部門がセキュリティのリスク管理に関与する「融合」が進んでいる。ツールを一本化し、共通のデータ(シングル・ソース・オブ・トゥルース)を見ながら連携することが、組織の縦割りを解消し、レジリエンスを高める最短ルートである。

AIエージェント同士が連携する未来へ

 カンファレンスの最後に、ダン・ストリートマン氏は、人間がAIを直接活用する段階から、異なるシステム間のAIエージェント同士が連携する「Agent-to-Agent(エージェント対エージェント)」の世界が今後進展するだろうとの展望を語った。AIが複雑なタスクを自律的に完遂し、システム同士で協調を図る時代がすぐそこまで来ていることを示唆している。

 タニウムが掲げる「Unstoppable Business」というビジョンも、こうした技術進化の流れと強く結びついている。現場の正確なデータをもとにAIや自律型システムを活用し、人や組織がそれぞれの役割により集中できる仕組みづくりが、各社で具体的に進みつつある様子が印象的だった。

 登壇したリーダーらの議論からは、今後もITとビジネスの両面で「自律性」と「連携」が大きなテーマとなりそうだ。変化が著しい時代だからこそ、現状に安住せず、データやAIなど新しい手段を適切に取り入れていく姿勢がこれから一層問われるだろう。

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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...

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