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三井化学とIndeedが壊した「AI活用の壁」──“20年来のアドオン地獄”と“2年待ち”を打破

「岩盤層」を突き崩し、アドオンを2,000本から7本に縮小

凝り固まった「フローズンミドル」を溶かす実利によるアプローチ

 セッション後半、議論は組織変革の最大の難所である「人」と「カルチャー」に集中した。

 アンソニー氏は、変革を阻む中間管理職層を米国では「フローズンミドル(凍った中間層)」と呼ぶと紹介。「彼らはKPI達成への恐れや、やり方を変えることへの恐怖心を持っています。この氷を溶かすには、新しいやり方のほうがKPIを達成できるという『実利』を示すしかありません」と指摘する。

 三瓶氏もこれに深く頷き、独自の人材育成ロードマップを紹介した。三井化学では、DXスキルをLevel 0(重要性の理解)からLevel 3(高度な分析技術を駆使して組織課題を解決できる)までの4段階に定義している。特筆すべきは、教育カリキュラムが「2030年の事業目標」から逆算して設計されている点だ。

 「2030年に2500億円の営業利益を達成するために、どの事業部でどのようなAIアプリケーションが必要か。それを因数分解し、必要なスキルセットを特定して研修項目に落とし込んでいます」(三瓶氏)

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 さらに研修は座学で終わらない。「最終的には『自分の職場の課題』を解決するプロジェクトを実行してもらいます。学んで終わりではなく、実際に業務プロセスを変革し、成果を出すところまでをセットにすることで、『これは自分たちの武器になる』と実感できるのです」。

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【モデレーター】Salesforce, Inc. エグゼクティブ・バイスプレジデント 兼 チーフデジタルオフィサー(CDO)

ジョセフ・インゼリロ氏

経営層こそ「データ」で語れるように

 現場の底上げと同時に不可欠なのが、経営層のリテラシー向上だ。

 「経験や勘、あるいはその場の『勢い』で投資判断をする時代は終わりました。これからはデータに基づいたファクトベースの経営が求められます」と三瓶氏は断言する。

 三井化学では、役員向けの昼食会を活用し、デジタルに関する勉強会を実施してきた。三瓶氏自身、何度も講師を務めたという。また、BIツールを標準採用して会議資料のフォーマットを統一。さらに「マネタイズハンドブック」を作成し、ROIの計算ロジックや用語の定義を全社で統一言語化する取り組みも進めている。

 役員自身がデジタルの重要性を理解し、共通のデータ言語で語り合うことこそが、組織全体のカルチャーを変える最も強力なメッセージとなるからだ。

 三井化学とIndeed、グローバルに事業を展開する両社の事例が示したのは、魔法のような近道は存在しないということだ。しかし同時に、正しい戦略とデータを武器に、泥臭く組織に向き合い続ければ、変革の道筋は見えてくるという希望も示された。

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この記事の著者

加藤 智朗(カトウ トモロウ)

 Forbes JAPAN編集部を経て、フリーの編集・ライター。経済誌・経済メディアで編集、企画、制作管理、デスク、執筆などを担当。関心領域はスタートアップや海外動向をはじめ、ビジネス全般。ポートフォリオ(制作実績など)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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