AIの普及で、金融業界も中央集権型から「分散型」へとシフトする?
──DXやデジタル化に追われているところに、AI活用という新たなトピックも台頭してきました。AIについては何か協会の中で動きはありますか。
岡田氏:協会内のモダナイゼーション委員会やITスキルワーキングの中で、AIのローコードツールや、ユーザー側でAI開発ができるようなツールを取り上げるなどといった取り組みは既に行っており、かなりの反響があります。

岸氏:住友生命も比較的早い段階で生成AIを導入しましたが、やはり最初のうちは、使う人は使う、使わない人は使わないといった具合ですね。現在は2026年に向けて外部のインテリジェンスの力も借りながら、経営陣から「これだけ業務改善しなさい」といったメッセージを発信してもらうことを検討しているところです。
がっちりとしたピラミッド型組織は、守りに強い構造のため新しいものを入れても弾かれやすいんです。それを弾かれないように、ヒエラルキーの中に入れなければなりません。ですから経営ゴトにAIを組み入れ、経営のアプローチそのものを変える必要があるとも考えています。個人レベルで「便利だね」でもいいのですが、それだけではAIを完全に活かすことは難しいでしょう。
山口氏:AIは、ITの民主化を支える手段だと考えています。RPAやローコードアプリなども、現場で見つけた課題を(IT部門ではなく)現場が作ったアプリを使って解決できるツールとして役立っていますが、生成AIもその一つだと思います。専門家でなくても、多くの人が使える範囲で使い始めています。

こうした潮流も相まって、私は金融業界のITカルチャーが変わると予想しています。今までの金融機関は、システム関連の部署がすべてのITツールを統制して管理するという、中央集権型のカルチャーでした。しかし、現場で作って、現場で使って、現場の課題を自分たちで解決しようという動きが広がるにつれ、中央集権型から分散型へのシフトが起こりつつあるのを感じています。
そういう意味では、ITの民主化とはイノベーションが起こりにくい組織に変革をもたらすものであり、生成AIはそれを後押しする手段として貢献するかもしれません。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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