Honda、富士電機、YKK APが語る「日本型ものづくり」の次章──PLMとMESのデータ連携が拓く
10/9 IVI公開シンポジウム2025Autumn #02
総合討論:設計主導と現場主導を融合させる「日本型」の模索
パネルディスカッションでは、IVI理事長の西岡靖之氏がモデレーターを務め、PLMとMESの連携、そして日本と欧米のアプローチの違いについて議論が交わされた。
Hondaの福森氏は、欧州メーカーとの違いを指摘した。
「欧州メーカーは『図面通りの製造』を重視し、現場での柔軟な対応はあまり重視しません。一方、日本は現場の微調整力で多様な変化に適応してきた。今後は、この現場の知見をデジタルに活かしていく必要があります」(福森氏)
富士電機の山本氏は、PLMとMESの双方向性を強調した。
「現場での改善をPLMにフィードバックする。この双方向性が、日本型PLMのポイントになると考えています」(山本氏)
YKK APの澤田氏は、欧米製パッケージソフトの限界を語った。
「欧米のパッケージソフトは、日本のものづくり現場の細かさに合わない部分があります。だからこそ、自社開発で現場に合った仕組みを作る必要がある」(澤田氏)
西岡氏は「日本のレガシーは強みになるのか、遅れになるのか」と問いかけた。これに対し福森氏は次のように答えた。
「中国のEVメーカーなどが激しい価格競争を仕掛けており、部品コストはますます下がります。だからこそ、リーン生産を徹底しながら、製品の付加価値を最大化し、売れ残りを減らす仕組みが不可欠。その実現には、生産現場と設計部門で『データによる整合性』を取ることが重要です」(西岡氏)
設計主導(トップダウン)か、現場主導(ボトムアップ)か。3社の議論が示したのは、その二項対立を超え、PLMとMESをデータ基盤上で融合させる「第三の道」だった。現場の暗黙知をデータ化し、設計と双方向で連携させる。日本の製造業が培ってきた現場力を、デジタルの力で次のステージへ引き上げる挑戦が始まっている。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...
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