「今こそ経理が輝くチャンス」野村不動産HD 今川氏に訊く、社員への“強制力”で推進した経理DXの裏側
ガバナンス強化の視点から、強気の施策で業務プロセスを変革
経費精算は「無駄な時間」 法改正を追い風にDXを推進
実際に同社が進めてきた施策について詳しく見ていこう。そのうえで押さえておきたいのが、2020年10月に改定された『電子帳簿保存法(電帳法)』の大幅な緩和だ。これをきっかけに「デジタル明細」が解禁され、企業は法人カードからの連携データを利用して経費申請すれば、30,000円未満のものは領収書の添付なしで手続きができるようになった。このタイミングを逃すまいと、同社でもスクラッチからの移行時に導入していた「Concur Expense」上でさっそく電帳法に則った経費精算の運用を開始。翌年4月には、社員の法人カードの保有と利用を義務化する「経費ルール」を策定した。
その後、2022年にはスキャナ保存の緩和を受け、領収書の完全ペーパーレスな運用を開始。また、2023年より始まるインボイス制度や2024年より始まる電子データの紙出力禁止といったルールへの対応で経理業務の負担が大幅に増えることが予想されたため、2023年7月にはインボイス管理サービス「Bill One」を導入した。
2024年には、電車移動の経費精算効率化を目指し、SuicaやPASMOといった交通系ICカードの利用履歴が自動的にConcur Expenseへ連携されるサービス「ICCI(IC Card Integration Service)」を導入、社内ルールとして登録の義務化を定めた。そのほか、タクシー移動の経費精算自体をなくすために請求書支払いサービス「GO BUSINESS」を導入し、不動産業界ならではの“細かな経費精算”をなくす取り組みを推進したという。
「当社の経理業務のデジタル化は、基本的に法改正とともに進んでいきました。もちろん、法改正の以前から積極的にデジタル化を進めたいという思いはあったものの、改正前はソリューションの選択肢も少なく、自社に合うツールを見つけることが大変だったんです。法改正にともない、さまざまなベンダーがソリューションを発表したことで、選択肢が広がった。この流れにうまく乗れたことが、ひとつの成功要因のように思えます」(今川氏)
また、こういった業務のデジタル化を進める根底にはいつも、「生産性の低い仕事をなくしたいという思いがある」と同氏は語る。経費精算や請求書の処理などをしている時間は、事業部門の社員にとって“無駄な時間”ともとれる。経理業務の負担削減と同時に、会社全体の業務効率化・価値創造の時間創出に貢献すべく、デジタル化に挑んでいるとのことだ。
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