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海外ベンダーが猛威をふるう中、「国産AI」に勝ち筋はあるのか?開発者×政府×弁護士が現状を徹底議論

日本企業がAI活用を成功させるために、変革すべきこととは

日本企業は「データマネジメント」に後れ AIを入れた“先”にすべきこと

佐久間次に、落合さんから自己紹介と、国産AIについて考えをお話しいただけますか。

落合孝文氏(以下、敬称略)渥美坂井法律事務所の落合と申します。私は2016年頃から、総務省の「AIネットワーク社会推進会議」に参加するなど、ここ10年のAI政策に関わっております。直近は「デジタル行財政改革会議」という、デジタル、特にデータの整備について司令塔になる会議のメンバー、および政策を務めています。

 国産AIについては、去年「ERIA(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia)」というASEANのシンクタンクの機能を有する機関でアジアのスタートアップ政策を担当している方々と議論しました。やはり、アジア各国の中でも「どうすれば自国にあった国産LLMを作っていけるか」という課題感があるようでしたね。

 具体的には、自国の文化や社会性をどういった形でシステムに反映できるかという視点が焦点になってきます。たとえば、同じ英語を使っていてもその国によってニュアンスが違ったり、多言語の文化が広がっていたりと、各国によって状況が異なる。そういった事情を加味したうえでの開発が求められています。

 フランスやスイスなどのAI先進国では、既にそういった視点での開発が進められているので、自国の産業に対する競争優位性を示す以外にも、国産AIは自国の情報にアクセスするための重要な接点や、文化を反映した発信につながりうるのではないかと思います。

(左から)株式会社Preferred Networks エンジニア 今城健太郎氏

デジタル庁 デジタル社会共通機能グループ 統括官 楠正憲氏

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 弁護士 落合孝文氏

一般社団法人AIガバナンス協会 業務執行理事 兼 事務局長 佐久間弘明氏

佐久間ありがとうございます。ここから先は、お三方とのパネルディスカッションに移りたいと思います。最初のテーマは、「日本企業におけるAI活用の進捗度」です。世間的には、AIをビジネスで活かしきれていないのではという声も見受けられますが、皆さんは現状をどのようにお考えですか。

正直、一般的なAI活用で想像されるテキストチャットでは、生産性は向上しないですよね。現状のAIは、データのアクセス性やアウトプットの形式などもまだ整っていません。日本企業が他国と比べて後れをとっている領域は、「データマネジメント」だと思います。

 私自身、日々バイブコーディングなどをしていて思うのが、どんなにAIが高速で処理してくれても、すぐに人間がボトルネックになってしまうんですよね。人間同士の交渉や手作業が発生した瞬間にAIが活かされなくなってしまうので、業務プロセス自体を変えないと本当のAIのポテンシャルは発揮できない。しかし、業務プロセスを変えるためには「AIが得意なこと」を肌感で理解しなくてはならないので、その入口としてテキストチャットなどを使わざるを得ない。日本企業の多くは、まだ入口レベルだと思います。今後は、「AI導入の入口」と「アクセスできるデータ」を広げていくことが大事だと思います。

佐久間ありがとうございます。チャットなどを使い「触って慣れる」ことは大事ですが、その先に行くためには、データの整備とAIにフィットする環境を作ることが必要ですね。今城さんはどう思われますか。

今城AI利用に関しては、ゆっくりながらもきちんと進んではいるという意味で、ポジティブに捉えてます。今の日本はクラウド利用も増えていると思いますので、そこは良いのかなと。

 一方、弊社および国産LLMについてはAIの精度がOpenAIなどの海外LLMに比べて劣っているという課題があります。ここ数年で実用に届くようなレベルになってきてはいるので、今後も精進していきたいですね。今回はPLaMo翻訳を紹介させていただきましたが、こういったサービスがAI活用の入口になる可能性もあるので、うまく展開させていきたいです。

佐久間たしかに、AIによる翻訳機能はいろいろな会社で使われやすいものですし、かつ国産であることの強みが分かりやすく出るモデルでもあると思います。日本のAI活用全般という視点で、落合さんからも意見をうかがえますか。

落合ありがとうございます。AI全般について、日本は最初は少し出遅れていたかと思いますが、次第に活用も広がってきていると感じます。たとえば金融業界では、AIが出始めの頃はそもそも情報の外部提供が難しいという風潮も強かったですが、最近は外部利用を考える話が増えてきています。そういった意味では、欧米と比べると出遅れてはいるものの、最近はペースが上がってきているのではないかと思います。

 先ほど楠さんからデータの話がありましたが、日本企業だからこそ持っているデータがあるので、そこを活かせれば良いのではと思います。たとえば、フィジカルAIなどの領域はまだ海外の大手ベンダーも、十分にデータを集めきれていないのではないでしょうか。

 日本にはまだデータマネジメントに対する課題はあるものの、日本企業だから、もしくは日本だからこそできていたことがまだ眠っていると思います。まずは、日本企業がそのデータを探して、整備していく必要がありますので、AI活用の士気が高まってきた今、データ整備も進めていくべきですよね。データとAIを両輪で活用するための準備が、今日本に求められていることだと思います。

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「イチバンじゃないと意味がない」は間違い 日本がAI領域で優位に立つためにすべきこととは

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奥谷 笑子(編集部)(オクヤ エコ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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