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ブルボンのコスト4割減を支えたゴウリカの「成果報酬型BPaaS」──DX・AI疲れの突破口はどこに

「ゴウリカ」にリブランディング、そのねらいを岡本賢祐社長に訊く

 DX(デジタルトランスフォーメーション)が声高に叫ばれて数年が経過する中、「DX疲れ」に陥る企業は少なくない。加えて、AI活用という命題も増えている。2026年4月、リブランディングを実施したゴウリカは「成果報酬型BPaaS」という新たなアプローチにより、これらに係る課題解消に向けて動き出した。

「DX・AI疲れ」に陥る日本企業 迫られる“現場変革”

 企業におけるDXやAI活用は、かつてないほどの盛り上がりを見せている。経営陣から「AIを活用して新たなビジネスを創出せよ」「業務効率化のために最新システムを導入せよ」といった大号令がかかり、情報システム・DX部門や経営企画部門などの担当者はその旗振り役として日々奔走している一方、現場の実態はどうだろうか。多くの企業では、新しくデジタルツールを導入したにもかかわらず本質的な業務負担は軽減されず、むしろ新たな入力作業や確認プロセスが増加したことで、現場が疲弊する「DX疲れ」とも呼ぶべき現象が蔓延している。

 2026年4月1日より社名をゴウリカマーケティングから「ゴウリカ」へと変更した同社 代表取締役の岡本賢祐氏は、長年にわたり業務プロセス変革に伴走してきた経験から、この現状に強い警鐘を鳴らす。同氏のキャリアは、2001年にコニカ(現コニカミノルタ)に入社後、医療分野のデジタル化に携わったところからスタート。レントゲンフィルムがデジタルモニターへと移行する変革期を最前線で経験し、その後アメリカ駐在や中国での新規事業立ち上げ、さらにイギリスやオーストラリアの企業買収を通じて、グローバルな視点でビジネスの“仕組みづくり”を学んできた人物だ。

 「私が医療現場のデジタル化に携わっていた頃から数えれば、かれこれ30年近くデジタル変革(≒DX)がつづいていることになります。しかし、近年になってDXの水準がどんどん高くなったことで、(企業利益に直接影響しない)ノンコア業務をなくそうという機運の高まりのわりには、一向に現場のノンコア業務がなくなる気配がありません。現場に目を向けると、人員は削減されているのに業務はより複雑化しており、単純なツール導入だけでは解決しないケースが非常に増えました」(岡本氏)

ゴウリカ株式会社 代表取締役 岡本賢祐氏
ゴウリカ株式会社 代表取締役 岡本賢祐氏

 ビッグデータ旋風が巻き起こった2010年頃、日本企業がこぞって導入したBIツールが好例だろう。“経営の可視化”を目的にツールを導入し、1年がかりで現場教育を施しても、結局プロセス自体が変わっていないため定着せず、BIツールを利用するための新たな「専門的定型業務」を生み出してしまった企業は少なくない。特定の担当者がツール運用にかかりきりになってしまい属人化が進んでしまうような事態は、今でも多くの現場が直面している課題である。

 この背景には、日本特有の雇用慣行もある。日本の大手企業は、長きにわたってジョブローテーションを前提としたジェネラリスト育成が中心であったため、近年叫ばれる「ジョブ型」への移行は容易ではない。当然ながらジェネラリストが多い組織でジョブ型を導入しようとしても、その職務に特化したプロフェッショナルなスキルをもつ人材が社内に存在せず、結果として失敗に終わったケースが散見される。「日本の企業の強みは、さまざまな部署で経験を積み、社内調整や暗黙知に長けたジェネラリストたちの柔軟性にあります。しかし、それ故に業務プロセスが曖昧になりやすく、ツールを導入するだけでは『入力の手間が増える』などの本末転倒な結果を招いてしまうのです」と岡本氏。企業がDX、そしてAI活用を成功させるためには、ツール導入の前に「仕組み」そのものの変革が不可欠だとする。

リブランディングで「生産性向上」支援のプラットフォーマーへ

 こうした日本企業の構造的な課題に対し、ゴウリカは独自のアプローチで解決を図ってきた。同社は元々2015年にコニカミノルタの社内スタートアップとして設立され、海外のマーケティング支援会社を買収しながら日本市場での事業基盤を築いてきた。その後、2023年にMBO(マネジメント・バイアウト)により独立を果たし、バックオフィス支援を中心に事業を拡大している。そして今回、リブランディングの一環として社名から「マーケティング」を外し、ゴウリカへと変更した。この名称変更には、同社が目指すビジネスのねらいが隠されている。

 岡本氏は、独立当初から社名を変更する構想をもっていたと明かし、「ここ数年でHR(人事)領域やAI領域の事業が大きく成長し、もはやマーケティングに限定した会社ではなくなりました。逆に『マーケティングの会社だ』と見られることが、他領域への展開において足かせになっていたため、事業領域の拡大を明確に示すことにしました」と話す。

 同社がマーケティング以外の領域で、技術的な知見を蓄積してきた歴史は古い。2017年頃の「ディープラーニング」ブームの際には、いち早く技術者を社内に抱えることで、店舗に設置したカメラから顧客の行動をAIで分析するサービスを展開していた。データ分析を専門に行う部隊も早くから組織されており、マーケティング領域の枠を超えたデータドリブンな業務改善のノウハウを培っている。

 また、今回のリブランディングは、単なる事業の多角化を意味するものではない。マーケティングや人事だけでなく、あらゆるバックオフィス業務に共通する「専門的定型業務の肥大化」という根本課題に、横断的に切り込んでいくという同社の強い意志の表れである。社会的な労働力不足が深刻化する中、BtoB・BtoCを問わず多くの企業が生産性向上の壁にぶつかっている。同社が2026年1月に実施した調査によれば、従業員1,000名以上の企業において、マネジメント層の約8割が「より多くの時間をコア業務に充ててほしい」と願っているにもかかわらず、実際には業務全体の半分以上が定型業務や専門的定型業務に割かれているという。

 「あらゆる部門において、本質的な価値を生み出すコア業務に集中できていないという課題は共通しています。私たちがこれまでマーケティング領域で培ってきた『業務プロセスを可視化し、外部のプロフェッショナルとして効率化する』というノウハウには、人事やAI推進など、マーケティング以外の領域でも強いニーズがあることがわかりました。ゴウリカという新たなブランドの下、ホワイトカラー層全体の生産性向上を支援するプラットフォーマーへと進化していくことが真のねらいなのです」(岡本氏)

 各部門のサイロ化された業務課題を包括的に解決する──そのためにゴウリカが採用した独自のアプローチが「成果報酬型BPaaS」だ。

コア業務への集中を促す「成果報酬型BPaaS」 ブルボンなどの有名企業で成果

 ゴウリカが提供する課題解決のアプローチの中核を成すのが「成果報酬型のBPaaS(Business Process as a Service)」という、独自のビジネスモデルだ。近年、クラウドサービスの普及とともにSaaSという言葉は定着したが、BPaaSはソフトウェアだけでなく、ビジネスプロセスそのものをサービスとして提供する形態を指す。一般的なアウトソーシング(BPO)が単なる作業の切り出しであるのに対し、BPaaSはテクノロジーや専門人材を組み合わせて業務プロセス全体を最適化し、継続的に運用・改善していく点に特長がある。

 同社は企業における業務を「コア業務」「定型業務」「専門的定型業務」の3つに分類しており、特に生産性のボトルネックとなるのが専門的な知見を必要とする定型的な業務「専門的定型業務」だ。マーケティングにおける販促ツールの制作進行、人事における中途採用のダイレクトリクルーティングなどがこれに該当する。マーケティング領域でいえば、かつては広告代理店などが大規模なキャンペーンと引き換えに無償で請け負っていた業務だが、現在では予算の細分化やデジタル施策の増加により、企業に逆流してきているのが実情だ。

 岡本氏は、この専門的定型業務の解決こそが労働生産性向上のカギだとする。

 「AIや新しいツールを導入しても、実行部隊として業務を回すことのできる『経験を積んだ人材』がいなければ機能しません。しかし、企業内でこの専門的定型業務を担う人材を育成・維持することは、ジェネラリスト中心の組織では非常に困難です。そこで自社の専門人材を顧客企業に常駐させ、実質的な内製化チームとして専門的定型業務を巻き取るためのBPaaSを提供しています」(岡本氏)

 ここで注目すべきは、同社が「成果報酬型」を前面に押し出している点である。新たな業務プロセスや人材を採用する際、経営陣が最も懸念するのはコストの増加だ。プロフィットセンターではないバックオフィス業務に対して、巨額の初期投資を行うハードルはAIの台頭でより高くなった。「経営者からすれば、コストを削減するために投資するということは本末転倒に聞こえます。そこで私たちは、導入前に無料のアセスメントを実施し、確実に業務削減できる余地を見極めます。その上で、実際に削減されたコストの中から一部をサービス利用料金として受け取る仕組みを採用しました。これにより顧客企業は追加のリスクを負うことなく、業務の効率化と高度化を実現できるのです」と岡本氏。この独自モデルが成立しているのは、同社が有する圧倒的な知見とネットワークがあるからだという。

 たとえば印刷物に関連する業務では、同社が国内800社以上におよぶ印刷会社のネットワークを用いて仕様の決定から相見積もり、入札システムの運用までを代行可能だ。岡本氏は、「印刷の仕様決めは非常に複雑で、ツールを導入しても簡単に使いこなせません。ゴウリカのプロフェッショナル人材がユーザー企業の中に入り込みながら最適な仕様を組み、透明性の高い入札を行うことで、平均して約35%のコスト削減と約60%の業務効率化を実現しています。これまで事前のコスト削減予測が外れたことはありません」と自信を見せる。こうした確固たるノウハウこそが、成果報酬型BPaaSというビジネスモデルを支える基盤となっている。

ブルボン社と旭化成セラピューティクス社の事例が示す、透明性の担保と内製化

 では、ゴウリカが提供する「成果報酬型BPaaS」は、実際のビジネス現場にどのような変化をもたらしているのだろうか。具体的な事例として、顧客企業であるブルボン社の取り組みが挙げられる。

 ブルボン社ではかつて、マーケティング部門が独立しておらず、部門設立当初は専門的定型業務が非常に高い割合を占め、社員のリソースを奪っていた。ここにゴウリカの専門人材が入り込み、業務プロセスの見直しとBPaaSの導入を図った結果、大きく効率化を達成している。たとえば、1つの販促ボードを制作するために、以前は社内外で50件ものメールでのやり取りが発生していたがプロセスを整理することで、その送信数をわずか1件にまで削減することに成功した。さらに相見積もりの徹底、最適な仕様の選定などにより、販促関連業務にかかるコストを約4割も削減するという成果を上げている。

 同様の導入効果は、製薬業界である旭化成セラピューティクス(旧 旭化成ファーマ)でも見られる。同社ではMR(医薬情報担当者)向けの資材(医薬品の概要やガイドラインなど、プロモーションに係るコンテンツ)制作において、各担当者が抱える案件数の多さから進行管理が複雑化し、複数の資材制作が重なると納品に約1ヵ月もの遅れが生じていた。しかし、ゴウリカの専門人材が制作ディレクションから印刷の手配までをサポートし、案件管理ツールでスケジュールを可視化したことで、同時進行できる案件数が増加。現場からは「1.5倍以上の業務量をこなせている」との声が上がっている。さらに、最適な制作会社の選定や細やかなコスト交渉により“予算の最適化”が進み、浮いたコストで新たな販促施策にも積極的に取り組める体制となった。

 また、ゴウリカが介在する価値は単なるコストダウンにとどまらない。アウトソーシングにおける最大の罠は「業務のブラックボックス化」を招くことである。外部に業務を丸投げすることで、どのようなプロセスで、なぜそのコストが発生しているのかが見えなくなり、結果的にベンダーロックインに陥りやすい。岡本氏は、「専門的定型業務をアウトソーシングしてしまえば、コントロールが利かなくなります。われわれのサービスは、専門家がお客様の『隣』にいて、なぜこの仕様が良いのか、どうすればもっとコストが下がるのかを提案します。価格やプロセスの透明性を徹底的に高く保つことで、外部企業でありながらも実質的な内製化チームとして機能するのです」と述べる。この内製化を支えているのが、各領域に特化したジョブ型のスペシャリスト人材だ。ジェネラリスト中心の日本企業では育成が難しい、高度な専門人材を業務プロセスに組み込めるからこそ、業務の透明性と高い生産性を両立させられるという。

 この成果報酬型BPaaSのアプローチは、HR領域でも同様の成果を生み出している。現在、多くの企業が中途採用において人材紹介エージェントに大きく依存しており、高額な紹介手数料に悩まされている。しかし、自社でダイレクトリクルーティングを行うにしても、そのノウハウを持つ人材が人事部にも事業部にも不足している状況だ。ゴウリカはここに採用のスペシャリストを常駐させ、候補者へのアプローチから事業部との連携、面接の調整までをチームの一員となって請け負う。これによりエージェント経由の採用を直接採用に切り替え、削減できた採用コストの一部を報酬として受け取る仕組みを構築している。

 そして、顧客企業から最も高く評価されているのは、実はコスト削減以上に「社員のマインドの変化」だ。膨大な専門的定型業務から解放され、新たに生まれた“考えるための時間”は、社員の育成やコア業務に充てられている。「業務効率化が進むことで、社員自身が働きがいを感じ、自社の企業理念や戦略について深く考える余裕が生まれます。スキルだけでなくマインドの醸成にまで寄与できること、これこそが最大の価値だと考えています」と岡本氏。業務の透明性を担保しつつ、社員の意識変革までを促すアプローチこそがゴウリカの強みだ。

AI時代だからこそ「コア業務」に集中するための体制構築を

 労働人口の減少が深刻な社会課題となる中、日本企業が生き残るためには、ホワイトカラーの生産性向上が急務である。しかし、ここまで見てきたように単なるAIツールの導入や表層的なデジタル化だけでは、現場業務は複雑化する一方であり、本質的な課題解決には至らない。ゴウリカがリブランディングを通じて社会に提示しているのは、企業が自社の強みであるコア業務にリソースを集中し、それ以外の領域を信頼できる外部のプロフェッショナルと共創していくという新たな経営モデルとも言える。

 岡本氏は、日本とアメリカにおける労働生産性の差を指摘すると、「日本とアメリカでは、生産性に約2倍の開きがあると感じています。アメリカでは職務が明確に定義されたジョブ型が主流であり、専門性に特化したプロフェッショナルがプロセスを一貫して遂行するため、無駄がありません。日本企業が全員をいきなりジョブ型に移行させることは現実的ではありませんが、われわれのBPaaSのように、外部の“ジョブ型プロフェッショナル集団”を社内のプロセスに組み込むことで、生産性を大きく引き上げることは十分に可能です」と話す。

 今後、ゴウリカはマーケティングやHRにとどまらず、IT部門の支援やデータ分析組織の立ち上げ、さらには広報(PR)や経営企画領域に至るまで、バックオフィス業務全体へと成果報酬型BPaaSを拡大していく方針だ。顧客企業の課題に深く入り込み、アジャイルにプロセスを改善しながら伴走する同社のスタイルは、ますます複雑化するAI時代において、DXを止めないための推進力となるだろう。

 AI時代に突入した今、企業は「自社のコア業務とは何か」「どの業務が専門的定型業務として現場の足かせになっているか」を厳しく問い直す必要がある。「不用意に人を雇えず、採用戦略を絞らざるを得ない時代だからこそ、人材戦略と業務プロセスの仕分けは表裏一体です。私たちはその整理の段階から一緒に入り込み、実行から運用まで伴走したいと考えています」と岡本氏。成果報酬型BPaaSという実践的かつ合理的なアプローチは、人材不足と技術革新の狭間で苦悩する多くの企業にとって、未来を切り拓くための1つの方策となるはずだ。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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