7年分のPOSデータを一元的に扱い、データのサイロ化も防ぐ サミット流のTiDB活用法
運用開始から現在に至るまで、サミットはTiDB環境を段階的に改善しながら、蓄積するデータの範囲を拡張してきた。現在は、クラウド上に独自のTiDB環境を構築し、過去7年分の膨大なPOSデータ、基幹系システムから抽出されたデータ、その他の各種周辺業務システムで発生する多種多様な業務データを集約している。
これほどの大容量データを保持しているにもかかわらず、小池氏は「期待していた以上に、とても高速に動作しています」とTiDBを評価した。大規模なデータに対して高いレスポンスを維持するためには、一般的にインデックスの設計、クエリの最適化などのチューニングが重要になる。小池氏は、「実は導入初期に想定した性能が出ない時期がありました。そこでアーキテクチャを見直し、『TiFlash』を正しく組み込んだところ、劇的にパフォーマンスが改善したのです。TiFlashの効果は大きいものでした」と明かす。TiDBは、TiKVとTiFlashを組み合わせることで、トランザクション処理と分析処理の負荷を分散させやすく、複雑なクエリに対しても安定したレスポンスを得やすい構成を実現できる。日常的なデータ更新を担う「行指向型ストレージ(TiKV)」とは別に、分析用のクエリを高速処理する「列指向型ストレージ(TiFlash)」をあわせもつ、TiDBの特性が活きているという。

この特性は、サミットのデータ活用を「単なる分析」から、多様な業務アプリケーションを支える「データプラットフォーム」へと進化させる原動力にもなっている。同社におけるTiDBは、“バックエンドの統合データ基盤”として位置づけられている。つまり、情報システム部やデータサイエンティストによる複雑な集計処理だけでなく、店舗の従業員や本部スタッフが利用するWebアプリケーションから発行される、予測が難しい多種多様なクエリに対しても高いパフォーマンスを保ったまま柔軟に応答しているのだ。また、アプリケーションの日常的な動作を支える、データ更新処理も同一環境で行われている。
何よりも小池氏が評価するのは、アプリケーションの機能や利用シナリオごとに、専用のデータマートやデータベース自体を個別に用意しなくてよくなった点だ。以前の環境では、データマート間で整合性を担保するための運用が複雑化していたが、現在は単一のTiDB環境だけで分析から業務アプリケーションのバックエンドまで一貫して対応できている。業務内容の変更にともなってアプリケーションの使い方や要求されるデータ構造が変わったとしてもインフラの柔軟性が高いため、変化に追随した開発環境も実現した。
なお、今回の導入にあたっては、MySQLとの高い互換性が功を奏している。新たなデータベース技術の導入にともなう開発者の学習コストや手間を最小限に抑えながら、環境構築後は、速やかに実業務での利用を開始できたからだ。また、オフショアの協力パートナーによるサポート体制も整っていたため、移行から運用の立ち上げまでを極めてスムーズに進められたとした。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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