SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

アジャイルは絶対、そのまま導入するな!〜本当に得をしたい情報シス部門にこっそり教える導入成功の極意

アジャイルはなぜ失敗するのか?~教科書には載っていない反復型開発の3つの掟

第3回

アジャイル開発が失敗する原因の多くは、手法に対する理解不足です。たとえ、アジャイル開発を形だけ導入しても、メンバーの行動原理や開発環境が整っていなければ、それらを上手く機能させることができません。逆に、「アジャイルのツボ」さえ押さえることができれば、比較的スムーズな導入が期待できるでしょう。

あなたは明日からイテレーティブ開発を回せますか?

 今回は、アジャイル開発の導入を成功させるための秘策を伝授します。前回、アジャイル開発は書籍にかかれた手法をそのまま現場に適用しても上手く行かないことを説明しました。

 必要なのはアジャイル開発がどんな原理に従って動いているかを知ること。それさえわかれば、状況が異なるプロジェクトにも応用できますし、細かいプラクティスに惑わされなくなります。既存の手法が上手く適用できない場合に、代替案を考えることさえできるようになるでしょう。

 今回は、われわれが慣れ親しんできたウォーターフォール型開発と最も異なるアジャイルの特徴「イテレーション」を取り上げます。短期間(1週間~4週間程度)の開発を繰り返しながら機能を充実させていきます。口で言うのは簡単ですが、大抵の人は初めてのイテレーションで失敗します。それが上手く回るための仕組みがわかっていないからです。

アジャイル開発の仕組みをおさらい

 まずは、教科書的な観点からウォーターフォール型とアジャイル型の仕組みの違いを見てみましょう。図は両者の比較をしたものです。アジャイル開発の方では、一つのイテレーションで実施する内容と簡単な役割分担を示しています。

 

ウォーターフォール型開発
ウォーターフォール型
アジャイル開発
アジャイル開発

リリース計画

 アジャイル開発は、最初に「リリース計画」を立てます。これは、「何番目のイテレーションでこんなことをしよう」ということをざっくりと想定したものです。

リリース計画のイメージ
リリース計画のイメージ
著者注

アジャイル開発は様々なスタイルがありますので、プロジェクトによっては異なる場合もあります。例えば、イテレーションへの割当をせずリリースタイミングやマイルストンのみ決めるケースもよく見られます。なお、アジャイル開発では人日単位で見積もるケースはあまり多くありませんが、ここではわかりやすさを優先しています。

顧客と開発チーム

 アジャイル開発のメンバーは、要求を決めて優先順位をつける「顧客」と開発を実施する「開発チーム」側に分かれます。

顧客と開発チームの役割分担例
顧客と開発チームの役割分担例
著者注
アジャイル開発でも違う役割になることもあります。例えばスクラムの場合は  顧客(プロダクトオーナー)、開発チーム、スクラムマスタ等にわかれます。

リクエスト

 イテレーションが始まると、最初(1日目)にそのイテレーション期間(例えば2週間)で開発チームに実施して欲しいリクエストを「顧客」側が出します。

各イテレーションでの作業イメージ
各イテレーションでの作業イメージ

作業見積もり

 それを受けて、それぞれのリクエストを実現するために必要な作業や工数などを開発チームが算出し、「作業見積り」として提出。顧客はその見積りをもとに、チームが2週間でこなせる作業量に収まるよう要求を取捨選択して、チームに作業を依頼します。そして、2週間後に、ちゃんと思ったアプリケーションができているか確認。ここまでが大まかな流れです。

各イテレーションごとにリリース

 2週間ごとにアプリケーションがアウトプットされますので、顧客側の要求と開発側の理解にギャップがあってもすぐにわかります。また、次のイテレーションからは、前回のイテレーションで作ったアプリケーションを見ながら仕様を考えることもできます。

 アプリケーションが完成したか否かで進捗を測ることができるので、途中までは順調に進んでいると報告されていたのに、最後になって急に問題を告げられるようなことも起こりえません。実際にアプリケーションを作ってみないとわからない、気づかないことに関するリスクも早期に発見できます。

 

*      *      *      *      *

 

 ここまで読まれていかがですか? 「繰り返し」をつかったアジャイル開発はなんだか良さそうなイメージがしますよね。しかし、「イテレーティブ型」の開発を「教科書」を読んだだけで導入すると失敗してしまうケースが多いのです。(次ページへ続く)

 

 

次のページ
イテレーティブ開発を上手く回すためのポイント

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
アジャイルは絶対、そのまま導入するな!〜本当に得をしたい情報シス部門にこっそり教える導入成功の極意連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

牛尾 剛(ウシオ ツヨシ)

株式会社匠Business Placeチーフコンサルタントにして、合同会社シンプルアーキテクト代表。大手SIerに勤務していたアジャイル黎明期からアジャイル開発の先進的な事例を仲間と一緒につくりあげた。最近は大手企業様のアジャイル導入プロジェクトの案件に関わっている割合がどんどん増加中。PMや、超上...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/2467 2010/08/31 00:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング