アクセンチュアが提言:フロンティアAIが暴く脆弱性対応に追われる現場を救え!経営直下の司令塔の作り方とは
アクセンチュア:「フロンティアAIが変える攻撃と防御」レポート
フロンティアAIモデルの登場で脆弱性の報告件数が従来の2〜3倍に増えた。だが企業の現場を苦しめているのは件数そのものではない。攻撃側と防御側が背負う条件がそもそも対称ではないこと、当てきれないパッチが積み上がって担当者が疲弊していること、そして危機感が高まるほど組織が動けなくなることにある。アクセンチュアが2026年8月7日に開いた会見で、同社執行役員でサイバーセキュリティ日本リードを務める藤井大翼氏は、いま必要なのは新しいツールよりも「司令塔」だと語った。
フロンティアAIにより脆弱性報告は過去平均の2〜3倍に増加
推論モデルを使えば、攻撃者は攻撃シナリオを大量に生成できる。仮に100個のシナリオを作って一斉に試したとして、攻撃側はそのうち1個でも成立すれば目的を達する。
「防衛側は100個全部守らないといけない。そういった条件面での差分を考えると、この点では攻撃側が優位になります」(藤井氏)
もっとも、条件が逆転する領域もある。推論には材料が要る。攻撃者は外から集められる情報しか持たないのに対し、防御側は自社の環境情報を持っている。情報の量では防御側が圧倒的に優位になり、その特性を踏まえて防御を設計することが要になるという。
発表会では、主要ベンダーの公表件数の推移が示された。毎月第2火曜日に修正をまとめるMicrosoftは、過去3年の平均が月およそ85件だったのに対し、2026年は4月が167件、5月が118件、6月が206件と伸び、6月は過去最多を更新した。7月にはさらに約600件へ跳ね上がっている。
四半期に一度まとめて公表してきたOracleは、平均355件ほどが2026年は4月と5月の合計だけで481件に達し、5月以降は月次公表へ切り替えた。月5〜7件で推移していたPalo Alto Networksも、2026年5月は25件を数えた。
藤井氏は当初、この増加を一時的なピークとみていたという。ところが最近の傾向はそうでもない。まだ発見されていない脆弱性が海の中に埋没しているのではないか、という解釈も出ており、多い状態はこの2年ほど続くと考えている。
量に加えて攻撃までの速度も速まっている。ゼロデイ攻撃が増え、公表から攻撃に使われるまでの期間も短くなった。
パッチ適用の繰り越しで、現場はすでに疲弊している
従来の攻撃は、CVSS(共通脆弱性評価システム)で9点台がつくような単一の重大な脆弱性を突くものが中心で、その1件を塞げば防げた。低・中リスクの脆弱性は、優先度付けの中で後回しにされてきた。
ところがAIは、単体では危険度の低い欠陥を文脈をまたいで結び、多段の経路を自ら設計する。失敗から学んで精度も上げる。後回しにされてきた低・中リスクの群が、かえって効率のよい攻撃素材になる。
これは攻撃側の戦略的な判断というより、CVSSという単体評価の枠組みとAIの横断推論能力との構造的なミスマッチから生じている、というのが藤井氏の整理だった。防御側が長く使ってきた物差しのほうが、先に間に合わなくなっている。
企業のIT運用では、パッチを適用する日時をあらかじめ決めておく「パッチウィンドウ」が置かれている。Microsoftのパッチチューズデーから2週間ほど後の深夜や週末、といった具合に枠を固定し、その中でやりくりするのが一般的なやり方だった。
サーバーは検証と動作確認が必要なため、適用の早い企業でも月に1回。四半期に1回、半年に1回という企業も少なくなかった。この前提が量の増加で崩れた。
当てきれなかった分は次に繰り越されるが、作業できる期間も人数も変わらないため、次でもまた繰り越しが出る。繰り返せば四半期分がまとめて残る事態にもなり、いずれ破綻する。繰り越しとは、脆弱なまま放置された時間のことでもある。
現場はすでに消耗し始めている。ゴールデンウィーク明けから金融機関を中心に相談が急増した、と藤井氏は明かした。
「一生懸命やっているにもかかわらず、繰り越しが発生して、いつまで経っても解消できない。本当にご苦労されているという話を聞いています」(藤井氏)
批判しているわけではない、という断りも添えられた。構造上そうなってしまう企業が多い、という見方である。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZine/AIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...
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