AI時代だからこそ、レガシーな技術が活きる──データ人材はAIとの対話で“人間性”を失ってはならない
AI活用が当たり前となった今、技術者が認識すべき2つのリスク
AI活用が進む今、プロンプトの質は意外とカギになる
では、開発現場において、昨年と今年を比較すると大きくどのような技術的転換があったのだろうか。この問いに、ピーターソン氏は次のように答える。
「おそらく6〜9ヵ月ほど前に、境界線を越えました。AIモデルが出す結果が非常に高性能となり、もう無視できないレベルに至ったのです」(ピーターソン氏)
1年前、SAS社内でソフトウェア開発におけるAI活用の可能性を議論したときは、「いかにテストを促進できるか」「開発者が日々の業務でこれらのAIツールに慣れ親しめるか」といった議題が中心だった。AIの出力結果を見ても、当時はまだ質にバラツキがあり、当たり外れがある状態だった。しかし、今やAI活用は選択肢(=任意)ではない。競合他社のスピードやAI活用レベルについていくために、自らも活用が必須となった。
この変化は、開発者の仕事の定義そのものにも影響してくる。今までは「すべてのコードを自分で書く」ことがエンジニアの主な仕事だったが、今後は「タスクを達成するためにAIエージェントやそのワークフローをオーケストレーション(指揮・統合)する」ことが求められる。これには、「何を作りたいのか」という要件に対するより深い理解が必要だ。
開発者は課題から一歩引き、「要件をどう構成するか」「最終生成物はどうあるべきか」を整理し、それをエージェントへの「プロンプト(指示)」という形でタスク定義しなければいけない。これは、従来の「作りながら要件を発見・調整していく」開発手法とは異なる思考法である。「ある意味で、開発者はプロダクトマネージャーのスキルを学ぶ必要が出てきている」とピーターソン氏は説明する。
ちなみに、同氏はプロンプトの書き方について、独自の考えをもっているようだ。昨今はAIモデルの性能が上がったことにより、我々に求められるプロンプトの厳密さやハードルは下がっている。しかしそこを丸投げすると、「対話における『人間の主体性や人間性』を放棄しはじめることにもつながりかねない」という。
「私は、AIに作業を代行させる場合でも、AIが何を行っているのかを人間に説明させるプロンプトの書き方を推奨しています。そうすることで、人間もAIと共に学びプロセスを理解しつづけられ、自分の主体性を完全に失わずにすむからです。単に少ない情報でプロンプトを書けるからといって手抜きするのではなく、“AIと共に人間も学習していけるようなプロンプト”を与えることが大切です」(ピーターソン氏)
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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