第二次就職氷河期の到来をどう捉えるか?
リーマンショックを機に悪化した新卒採用動向の悪化が止まらない。大学4年の後半になっても就職が決まらず就職活動を続ける姿が目立つ。採用開始時期の早期化と就職難が相まって就職活動が長期化していることが学生本来の学業を圧迫しているとして、三井物産、伊藤忠商事など商社を中心に構成する日本貿易会が平成24年度入社から就職活動を大学4年の夏まで延期する方針を決定し、新卒採用に関する「倫理憲章」を見直すよう日本経団連に働きかける意向を明らかにした。
採用活動の早期化は朝鮮特需の時代から問題視され、何度か就職協定が締結されたが、特に協定の廃止された1996年以降は早期化の一途を辿った。日本貿易会の提案はこうした流れに一石を投じるもので、人気が高い大手商社などが提唱していることから、一定の効果を挙げる可能性がある。
しかし就職活動の準備を進めていた学生からは外資系やベンチャー企業が例年通り採用活動を始めるようであれば、結果的に就職活動が長期化するだけではないかといった不安の声も上がっている。特にIT業界は外資系やベンチャーを中心に日本経団連に加盟していない人気・優良企業も多く、国際的な人材獲得競争も激しい関係から、倫理憲章の見直しへの対応を巡って混乱も懸念される。
就職活動が始まりつつあるこの時期に、大企業が採用活動の開始時期見直しを議論することに対して、そもそも学生を考えてのことなのか、他に意図があるのではないかといぶかる声もある。例えば採用活動を行うには新卒採用人数を確定するために採用予定時期の人員計画を立てる必要がある。景気の見通しが不透明な中、できるだけ増員計画を先送りすることが目的ではないかといった穿った見方もできる。(次ページへ続く)