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AmazonとVMwareの精鋭達が作ったクラウドOS「Nimbula Director」


ネットワールドは12月15日、米Niumbla社が開発中のクラウドOS「Nimbula Director」の記者向け説明会を開催した。

 

Reza Malekzadeh氏
Reza Malekzadeh氏

 Nimbula社は、「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」の開発を統括したChirs Pinkham氏とWillem van Biljon氏が、Amazonを退社後、2009年に共同設立したベンチャー企業。今年6月23日に、プライベート・クラウド構築用ソフトウェア「Nimbula Director」を発表し、本格的な企業活動に転じて以降、米国内外でクラウド分野の有力企業として注目を集めている。今回の説明会では、2011年前半の市場導入を目指して調整を進めているNimbula Directorの概要とビジネス戦略が紹介された。

 長年にわたりVMware社でマーケティング・ディレクターを務め、現在、Nimbula社のマーケティング・バイス・プレジデントの任にあるReza Malekzadeh(レザ・マレクザデ)氏は、企業システムとクラウドの関係について次のようにまとめる。

 「多くのユーザーはコスト削減という観点からパブリック・クラウドに関心を持つが、実際に使い始めると迅速さや柔軟性といった性質がイノベーションを可能にすることに気付く。例えば、インフラの心配をせずに需要に合わせてビジネスを拡張できるのは大きな強みだ。しかし、現実的に考えて、パブリッククラウドに全てのシステムを移行することは難しい。セキュリティ、コンプライアンス、パフォーマンス、SLAといった懸念が存在するからだ。各企業が過去に膨大な投資を行って築いた社内インフラが消えることはないだろう」。

 ただし、クラウドの登場によって情報システム部門は初めて競合といえる存在に直面するようになっている。「クレジットカード一枚ですぐにシステムの利用を開始できるパブリッククラウドと比べて、情報システム部門に開発を依頼すると何週間もかかってしまう。なぜ、クラウドと同じことが社内ではできないのかという疑念が当然出てくる。ITを取り巻く環境は変化しており、それに合わせて情報システム部門はシステムの提供の形を変えることが求められている」(Malekzadeh氏)。

 Nimbula社が新しい社内インフラのあり方として提案するハイブリッド・クラウドでは、アプリケーションの性質によって適切なリソースを使い分けることになる。高いパフォーマンスやコンプライアンスが必要なアプリケーションは従来どおりのインフラ、開発や分析、バッチ処理など変化への迅速な対応やスケールアウトが求められるアプリケーションはプライベートクラウドやパブリック・クラウドを利用する。

 「我々のミッションは、ハイブリッド・クラウドがより良く機能するようサポートすること。技術を提供することでパブリック・クラウドと同等の拡張性、俊敏性、柔軟性を確保しつつ、自社内のインフラを活用しカスタマイズ性やコントロール性も維持する。両者の良いところを両立させる」。Malekzadeh氏が説明するミッションを技術面からサポートするのが、同社がクラウドOSとして位置づける「Nimbula Director」だ。

 「私達は今回の製品をクラウドOSとして1から作成している。一般に見られる既存のソフトウェアにクラウドという言葉を冠しただけのものとは一線を画している。これまで、巨大なインフラを構築してきたチームが持つ教訓やノウハウが活かされている」(Malekzadeh氏)。

 VMwareやEucaluptusなどプライベート・クラウドを構築するソフトウェアが先行する中、Malekzadeh氏が挙げるNimbula Directorの強みは、既存のソフトウェアを上回る「スケール」、インストールから運用まで人的作業を最大限排除した「自動化」機構、ユーザーとオブジェクトごとに許可設定を行う「パーミッション」機能、パブリック・クラウド上にワークロードを動的に移動する「ネットワーキング」機能の4点だ。

 特に、自動化については、インフラ管理の負荷軽減や人為的なミスの回避という観点から特に配慮がなされているという。例えば、OSなどがインストールされていない空のサーバーにNimbula Directorをインストールすると、IaaS環境に必要なアプリケーション・スタックが一括で導入されるほか、リソースのプールを構成する物理ノードが落ちた場合に自動的に修復を行う「オートヒール機能」などを備えている。「IT部門はハードウェアの管理に捉われることなく、よりイノベーティブな仕事に注力できる。皆さんは、Amazonがどのようにインフラを運用しているかについては知らないが、クレジットカードの番号を入れればインフラが利用できる。プライベート・クラウドでも同じことを実現したい」(Malekzadeh氏)。

 Nimbula社のビジネスモデルは基本的にソフトウェアの販売のみとし、システム構築サービスやクラウド・サービスを手がける計画はないが、リリースに合わせて販売パートナーなどを拡充する予定。ライセンス体系はサブスクリプション形式を検討しており、すでに中堅~大企業のユーザー企業やクラウド・プロバイダーとしての地位を狙うSIerが関心を示しているという。

ターゲット市場
ターゲット市場
今後のスケジュール
今後のスケジュール

 現在、Nimbula Directorは2011年の公開を目指して、パブリック・ベータ版によるブラッシュアップを行っている。「プライベート・ベータのフィードバックを通して、自動化やスケール、セキュリティ、ネットワークといったニーズが確実に存在していることを確認できた。今後は、パブリック・ベータを通してより多くのフィードバックを得て、製品を洗練させていきたい」とMalekzadeh氏は語った。

 

 

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