はじめに〜この提言書の読み方・使い方
本提言書は、節単位で原則、内容が独立しているため、目次を参照しつつ、自由な順序で読み、使っていただくことができる。
EnterpriseZineでの掲載にあたり、章節構成を回構成として修正しています。あらかじめご了承ください。
本節に続く「マッシュアップ・アプリケーションを組んでみる」では、Web 2.0的手法を象徴するマッシュアップの具体的な実装の中身、手順を紹介する。第2回は、XSLTを駆使して、直列的にマッシュアップ・コンテンツを加工し、軸足となるメタデータを緯度経度、時間、キーワード、と次々と切り替えるユニークな事例(作者:日本ユニシス・小林茂氏:Web 2.0部会サブリーダ)である。第3回では、マッシュアップにおけるサービス呼び出し方式3種を事例中心に紹介した上で、これらを簡便に組み合わせ、連携させた事例を紹介する。
「Web 2.0の要素技術をエンタープライズに導入するために」ではまず、このようなマッシュアップのための素材の探し方、吟味の仕方を紹介する。次に、様々なAjax開発手法と、出来上がったWeb 2.0アプリのテスト手法を示して全体を通した後、アジャイルにWeb 2.0的サイトを1から構築するために急速に脚光を浴びつつある軽量言語の活用法を紹介する。さらに、クライアント・サーバ間やサーバ間の連携を適切に行うための、SOAP vs. RESTをはじめとするWebサービスの使い分け法から、法的メタデータ活用による素材の利用ラインセンス吟味の‘高速化’まで、Web 2.0的な手法、要素技術をエンタープライズで活用するための勘所を紹介する。
「エンタープライズWebアプリケーション最新事例」は、エンタープライズWebアプリケーション最新事例として、まず、Sun x リクルート第2回マッシュアップ・コンテストの受賞作品からエンタープライズ系のものを選んで紹介する。次に、Webブラウザ内でGUIの本格的OSが動いてしまうWebOSが出現し、OSの機能と操作性を提供しているものを「究極のWebアプリケーション」として紹介する。
「Web 2.0のビジネスモデル」では、Web 2.0のビジネスモデルを論じる。サービスへのシフトを契機に、Web 2.0的なビジネスモデルの特徴を考察した上で、新しく出現したステークホルダー「WebAPI提供者」を中心にした、10種類ほどの収益モデルを図解している。
「おわりに」では、現在脚光を浴びているSaaS(Software as a Service)が、エンタープライズ向けのWeb 2.0に他ならないことを示した上で、Web 2.0の技術と思想が今後着実にエンタープライズに根付いていく旨を表明し、本稿を締めくくる。
提言書の構成(順次公開予定)
エンタープライズ・システムにとってのWeb 2.0と技術ビジョン
- はじめに〜エンタープライズ・システムのための提言書−第0回
- Web 2.0は企業システムにとっての新たなパラダイムシフトなのか?−第1回
マッシュアップ・アプリケーションを組んでみる
- WebサービスをXSLTを利用したマッシュアップとそのサンプル−第2回
- 3種の呼び出し方式を連携させて作るマッシュアップ−第3回
Web 2.0の要素技術をエンタープライズに導入するために
- Webサービスや役立つリソースの探し方−第4回
- ノン・プログラミング・マッシュアップ・ツール群−第5回
- Ajax開発手法〜様々なAjaxフレームワークとライブラリ導入の実際−第6回
- ASP.NETによるAJAX開発手法−第7回
- Web 2.0アプリケーションのテスト手法−第8回
- なぜ“Ruby on Rails”がエンタープライズ、Web 2.0向きなのか?−第9回
- 軽量言語PythonとWebアプリケーション・フレームワーク−第10回
- Web 2.0時代のWebServices〜SOAP/REST使い分けの指針−第11回
- エンタープライズ・マッシュアップを加速する法的メタデータ活用−第12回
エンタープライズWebアプリケーション最新事例
- エンタープライズ・システムの視点から最新のマッシュアップ・サービスを俯瞰する−第13回
- WebOSとは?〜究極のエンタープライズWebアプリケーション−第14回
Web 2.0のビジネスモデル
- サービス化とWeb 2.0のビジネスモデル−第15回
- Webサービス(Web API)公開による収益モデル−第16回
おわりに
- Web 2.0の要素の大半を体現したSaaSによりエンタープライズの「2.0」化は不可逆的に進行している−第17回