クラウド化に伴う技術的な問題
アプリケーションをサービスとしてクラウドを利用する場合、必要なデータのバックアップが確保されるのか、また、それのアクセスは保証されるのか、はe-ディスカバリー法にとって重要な要件となる。このような機能や、極端な例では、データ差し押さえの令状を示された場合、クラウドなのでデータはありません、といった事例も考えられる。
やはり、明確な基準やポリシーを示せないと、クラウドだから、という理由は、意図的にクラウドにデータを置いて証拠が残らないようにしている、とも取られかねない。非常に高度な制御や判断が要求される部分だろう。
最近の技術的な動向で考えなければならないのは、スマートフォン対応もある。企業ITシステムのクラウド化が進み、シンクライアントやマルチデバイス対応が進むと、スマートフォンの普及にさらにドライブがかかるものと思われる。企業の中でもスマートフォンやスレート端末で、メールをやり取りしたり、コミュニケーションを取ることがますます増えるだろう。
スマートフォンのデータも、証拠として開示しなければならなくなる可能性は高い。いや、必至といっていいだろう。これからの時代、企業が保存・管理しなければならないデータは、ストレージやデータセンターといった「点」ではなく、クラウドやあらゆる端末といった「面」に展開される。当然、日々発生するデータは時間での管理も必要だ。e-ディスカバリー法対応や、関連のフォレンジック機能には、これらの新しいソリューションの開発が期待される。