改めて高まったデータ・バックアップの重要性
2011年のIT投資の動向は、震災の影響を受けて大きく変化している。当初考えていた計画から大きく変わり、自社の事業継続計画、情報の保全性について見直しを始めている企業が増えているのではないだろうか。企業が保有するデータのバックアップも、改めてその重要性が高まっている。企業のあらゆるデータがきちんとバックアップされ、いざと言う時には確実に復旧できなければならない。
ただし、従来型のバックアップ手法、例えばテープを使った形や普通にディスクにコピーする形の方法では、確実に今後も増え続けるデータのすべてをバックアップするには非効率だ。加えて今年は電力事情も課題として加わり、大きな電力消費が発生するシステムはどの企業も避けたいことだろう。
では、データのバックアップはどうすればいいのだろうか。EMCでは、従来のバックアップ方法を根本から見直し、前向きに新しい技術を取り込んで、確実なバックアップと省電力化の両立を図るのが良いと考える。
中核となる技術は、すでに様々なところで紹介され、活用が始まっているデータ重複除外(重複排除)だ。データ重複除外は、バックアップを行う際に、重複しているデータを排除してバックアップ・データを大幅に削減するというものだが、EMCの重複除外技術は、重複データの判別単位(ブロック)が、データの内容によって変化する可変長ブロックであるため重複除外の効率が非常に高いことが特徴だ。EMCでは、重複除外処理をバックアップ対象マシン側で行う「Avamar」と、インラインでディスクに書きこむ前に重複除外を行う「Data Domain」という製品を提供しており、様々なデータの種類、環境に対応可能だ。この「Avamar」と「Data Domain」というタイプの異なった重複除外ソリューションを提供しているのがEMCの強みといえる。この2つの製品は市場で求められるバックアップのニーズのほとんどをカバーすることができ、それは、国内での重複除外ストレージ市場において圧倒的なNo.1 シェアを誇っていることが証明している(図1)。
この圧倒的な実績を持つEMCの重複除外バックアップ・ソリューションだが、これまでAvamarは主にファイル・サーバーや仮想サーバー環境、Data Domainは大規模なデータベースやアプリケーションなどの構造化データを得意にするなど、用途によって使い分けがされていた(図2)。新しく登場した「Avamar6.0」では、Data Domainとの連携を実現し、大規模データベースやアプリケーションなどの構造化データを判別し、Avamarによって一元管理された環境で重複除外バックアップが可能となった(図3)。また、災害対策に有効な遠隔地へのレプリケーションも、Avamar 6.0によってData Domainによるレプリケーションも合わせて包括的に管理できるようになった。このように、EMCの重複除外バックアップは、企業のあらゆるデータを、効率的に、短時間で高速にバックアップが可能だ。
大きく普及が進んでいる仮想化環境においては、VMwareのvStorage API for Data Protection(VADP) との連携により、仮想サーバーのファイルの中の変更データのみを抽出可能だ。加えて、Avamar6.0 ではそのVADP機能を使い、仮想サーバーの差分データ・リカバリも可能となり、仮想サーバーのリカバリが短時間で行えるようになった。
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Avamar Gen4はわずか43 分で1,000 台の仮想サーバーを重複除外バックアップ
Avamar6.0を搭載したアプライアンス製品であるAvamarData Store Gen4は、従来モデルから大幅な性能向上が図られている。米国EMCが検証した結果を引用すると、1,000台の仮想サーバー環境にある50TBのデータを、わずか43分でバックアップすることが可能とのことである(図4)。また性能が飛躍的に向上しただけでなく、消費電力は従来モデルと比較し65%も低減している。もちろん、一般的なバックアップ・ストレージと比較すれば、データ量が大幅に縮小している分、ディスク本数も削減されているため、電力効率が格段に良いのは間違いない。
重複除外処理によって、バックアップ・データが削減され、バックアップ時間を大幅に短縮できるのでバックアップ・システムの稼働時間が短くなる。加えて、従来機種より大幅に省電力化が進んでいるので、今後ますます省エネ化が求められるIT インフラに非常に適しているといえる。今すぐ重複除外バックアップを利用するには
既存のバックアップをすべて見直すことが最良といっても、現在の状況は「導入しやすい」ソリューションが求められることだろう。現在、複数のサービス・プロバイダーがAvamar の重複除外バックアップを利用し、手軽な「オンライン・バックアップ・サービス」を提供している。これらの企業が提供するサービスを導入することで、今すぐバックアップ環境を改善することも可能だ。
データのバックアップと災害対策は、震災後の現在では重要度が非常に高くなっている。そのような状況だからこそ、最新の技術に目を向けて効率的なデータ・バックアップを検討する時ではないだろうか。
【パートナー企業様からのコメント(50音順)】
●大切なデータを大塚商会のデータセンターに日々自動的にバックアップする事業継続対策に最適な簡単お手軽なサービスです。高度な重複除外機能によりサーバーやネットワークに負荷を掛けずに大容量のバックアップができ、さらに取得後30 日間(最大30世代まで)の長期保存と簡単なリストア機能により、障害時だけでなく、操作ミスによるデータリカバリにも即座に対応可能です。日々のバックアップ状況も大塚商会が常に監視しているため運用もお任せ。また、弊社の特定アプリケーションご利用のお客様にはさらにお得な割引プランも用意しております。
[株式会社大塚商会たよれーるマネジメントサービスセンタークラウドサービス開発課 課長 浜口 和也氏]
●弊社ではEMC社のAvamarを利用した遠隔バックアップサービス「リモートバックアップサービス」を提供しています。本サービス最大のメリットは、データの重複除外により、ネットワークへの負荷を軽減しながら必要最小限のコストでバックアップを行えることです。また、OSの異なる複数のサーバーでも同時にバックアップすることが可能で、従来のバックアップ運用負荷を大幅に軽減します。現在、災害対策や事業継続計画への関心が高まっており、データの遠隔バックアップのご要望は増加傾向にあります。弊社では、堅牢な自社データセンターでお客様の大切なデータをお預かりすることで、この様なご要望に少しでもお応えしたいと考えております。
[株式会社ビック東海データセンタ・ソリューション事業部営業部 部長 田沢 一郎氏]
●2011年9月からリモートバックアップサービス開始予定で現在準備を進めています。サービスの特長としては「地震が少なく」「東名阪から均等に距離が近い」など、富山県という立地条件のデータセンターを生かしたサービスです。データ保全性だけを考えれば遠隔地が有利ですが、実際に災害が発生した際には、いかに早期にシステムを復旧できるかが重要な要素になります。ネットワークが利用できない状況を想定すると「人が移動できる」「メディアを搬送できる」距離も重要な要素になります。これらのバランスのとれた立地と、さらにAvamarの重複除外バックアップ機能によるネットワークコストの低廉化を武器にサービス展開していきます。
[北電情報システムサービス株式会社 ITサービス部IT技術グループネットワークチームリーダ(統括) 石田 裕一氏]
●ワンビシアーカイブズの「WANストレージライト」は、お客様の業務データを、ネットワークを利用して自動的にバックアップするサービスです。「Avamar」の持つ「重複除外技術」を活かし、都心から60km以上離れたデータセンターでお客様のデータを安全に効率よくお預かりし、さらに関西圏のデータセンターでも同期を取ります。想定しうるあらゆる災害に対し、お客様のデータを安全・確実に守ります。また、メディアの保管集配サービスやバックアップオフィスサービスとの組み合わせにより、お客様業務のRTO(目標復旧時間)やRPO(目標復旧地点)に合わせた災害復旧体制を安価にご構築いただけます。
[株式会社ワンビシアーカイブズ 営業本部 営業6 部 係長 高舘 雅人氏]