“データベースマシン”Exadataの採用
今回楽天証券では、2台のExadataを用意している。1台のプライマリーサーバーでは、同じ筐体内でOracle Data Guardを用いて論理バックアップサーバーを構築している。これに加えてもう1台のExadataには、やはりOracle Data Guardを用いて物理バックアップサーバーを構築している。物理だけでなく論理バックアップサーバーを用意することで、「滅多に起こることのない、Oracleデータベースのデータ論理障害にも対応できる」と今井氏は言う。
Exadataが2台というシンプルな構成でも、証券のシステムが要求する社会インフラとしての高可用性が、これで確保できたことになる。証券の基幹データベースという高信頼性を目的としたシステムにExadataが採用されたのは、日本オラクルが日頃から主張している「Exadataはデータウェアハウスアプライアンスではなく、データベース・マシンだ」ということを証明した事例と言えるだろう。とはいえ、今回のシステム構成は災害対策を考慮したものではない。東日本大震災を受け、今後広域災害への対応も検討しつつあるとのこと。その際には、今回用意している物理バックアップのサーバーを遠隔地に置くことで対応できそうだ、と今井氏はみている。
「今回のシステムはExadataの速さの仕組みがどうだといったことよりも、証券のシステムを一気に移行したプロジェクトそのものが重要で、どうやって実現したかを理解して欲しい」と日本オラクル株式会社 専務執行役員 製品事業統括 兼 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏は言う。証券のシステムのデータベースを一気に移行するという例は、これまでにはほとんどないとのこと。三澤氏によれば、プロジェクトとしてもかなりチャレンジブルなものだったと言う。
Oracle Exadataについては、データウェアハウス用途であれば他社のアプライアンス製品と競合する部分もあるだろう。コストパフォーマンスなどの面で、優位性をもつ他社製品もあるかもしれない。とはいえ、今回のようなデータベース・マシンとしての用途となる、といまのところライバルとなる存在はいない。今回のような事例が数多く出てくると、ハイエンド領域でOracle Exadataの評価がより高まる可能性がありそうだ。Oracleにとっては、ベンダーの囲い込み色を出さずに、今回のような事例を数多く出していくことが、今後は重要となるだろう。