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ERP失敗の法則~なぜ企業システムはいつも同じところで躓くのか~

ERPシステム導入でベンダー選定を失敗する理由

第4回

しばらく間があいてしまいましたが、相変わらずERP市場は活況のようです。最近では、ベンダー間の競争が激しくなってきたこともあって、ERP導入の初期投資額も次第に安くなってきています。ERP導入コストが下がるのは良いことですが、厳しい競争に勝つために無理して受注した結果、失敗プロジェクトを生むというケースも増えているように思います。今回は、ユーザー企業の目線でどうやって良いベンダーを選定すれば良いのかについてお話したいと思います。

ERP導入の腕をどうやって見抜くのか?

 導入ベンダーの選定はユーザー企業にとって切実なテーマなのですが、悩みぬいた末に選んだベンダーが良くなかったというケースは多くあります。ERPを導入してビジネスに最大活用するという目的が、いつの間にかERPシステムの完成そのものにプロジェクト目的がすり替わってしまうということもベンダー選定の失敗に起因する場合が多いのです。

 多くのユーザー企業から良い導入ベンダーを選定するコツを教えて欲しいと言われるのですが、これは正直結構難しい問題です。これまでにもお話した通りERP導入の成否は選定したパッケージベンダーと導入ベンダーのみならず、そのユーザー企業自身の考え方や取組み姿勢にも大きく影響されるからです。つまりユーザー企業と導入ベンダーの相性が実は結構重要だったりします。知識と経験が豊富で、実績ある導入ベンダーを選定したにも係らず失敗したケースもあります。逆にプライムコントラクターとしての経験や実績が少ないにも係らず、難易度が高いと言われたユーザー企業に対してERP導入を成功させたベンダーもあります。

 一般的には、ERPパッケージに精通していて、多数の導入実績やプロジェクト経験があり、業務知識も豊富で、それなりの体制を備えているベンダーが好ましいと言われています。もちろんこれを否定するつもりはありませんが、こうしたことを踏まえても失敗するプロジェクトはあるのです。

 大手の導入ベンダーを選定する場合には、概ね一般論でベンダー選定をしても良いと思います。なぜならば、万が一プロジェクトの雲行きが怪しくなった場合にはベンダー側の要員増強や入れ替えを強く求めれば状況の打開を図ることができるからです。

 しかし、中堅中小規模の導入ベンダーを選定した場合には、そうはいきません。要員の増強や変更に耐えるだけの体制が無いため結果として社外要員を当てることになり、これがプロジェクト収益を悪化させて結果として品質が悪くなるからです。ただし、大手ベンダーを選定しない理由のひとつに初期投資を抑えるという狙いがあり、中堅の導入ベンダーは多少のリスクがあっても積極的に受注する意向も強く全社をあげて対応してくれるため、こうした姿勢を評価して選んだというケースもあります。

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ベンダー提案、見た目で選んで大失敗

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この記事の著者

鍋野 敬一郎(ナベノ ケイイチロウ)

米国の大手総合化学会社デュポンの日本法人に約10年勤務した後、ERP最大手のSAPジャパンへ転職。マーケティング、広報、コンサルタントを経て中堅市場の立ち上げを行う。2005年に独立し、現在はERP研究推進フォーラムで研修講師を務めるなど、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスに従事している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/355 2008/05/20 12:00

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