『コミュニケーションの不足』のためにERP導入プロジェクトが失敗することはよくあります。そのような失敗は、プロマネの力足らずのために生じてしまうものであると言えます。今回はコミュニケーション不足による失敗を防ぐため、良いプロマネの選び方を考えます。
『コミュニケーション不足』のERP導入プロジェクトは失敗する
ERP導入が失敗する原因でよく理由にあげられるものに『コミュニケーションの不足』というものがあります。ひとことで言ってしまうと簡単ですが、その内容は多岐にわたります。
例えば、導入プロジェクトチームとそのオーナーである経営層との間で十分にERP導入目的をすり合わせていなければ、既存システムの機能を焼きなおしただけのものになってしまうかもしれません。
また、導入チームとユーザー部門と認識のズレがあり、操作性が悪いものができてしまうケースはよくあります。機能的には十分であっても、業務の作業負荷が増してしまうようであれば、ユーザーのシステムに対する評価は最悪になってしまうでしょう。
ERP導入ベンダーがイメージするものと、ユーザー企業が期待する機能に大きなギャップがある場合も問題です。場合によっては、プロジェクト半ばで全面的な仕様の見直しを強いられることもありえます。
いずれも敗因は『コミュニケーションの不足』ということになります。
ERP導入プロジェクト失敗の原因はプロマネにあり?
『コミュニケーションの不足』によるプロジェクトの失敗はよくあるケースです。しかし、担当するプロジェクトマネージャーの力量如何では、失敗をリカバリしたり、失敗そのものを未然に防ぐことが出来ます。
実は、筆者の友人にも、プロジェクトの建て直しを得意とする「火消し」プロマネが何人もいます。彼らに言わせると「そもそも始めに選んだプロマネがダメだから、プロジェクトが失敗するのだ」と言います。つまり良いプロマネを選んでいれば、失敗を招くようなことにはならないということです。
では、良いプロマネの選び方とは何でしょうか? 「良いプロマネ」と「そうでないプロマネ」を見分けるポイントは何でしょう? 今回は良いプロマネの選び方について考えてみたいと思います。

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鍋野 敬一郎(ナベノ ケイイチロウ)
米国の大手総合化学会社デュポンの日本法人に約10年勤務した後、ERP最大手のSAPジャパンへ転職。マーケティング、広報、コンサルタントを経て中堅市場の立ち上げを行う。2005年に独立し、現在はERP研究推進フォーラムで研修講師を務めるなど、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスに従事している。
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